「わが母の記」(2011年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

原田眞人監督による日本のドラマ映画。出演は役所宏司、樹木希林、三國連太郎。

 

 

<あらすじ>

 

作家の井上洪作は、容態の悪くなった父親を見舞い、父と母の謎の行動に首を傾げながらも帰宅した。数日後、父の容態は急変して亡くなったと知らせが届いた。葬儀のために再び実家に戻ると、母親の八重は痴呆症が進んでいると判明した。

 

八重は、洪作が引き取った。痴呆症の母親がやってきたことで一家は大混乱になった。洪作は、母親をしたいながらも、幼いころに母に捨てられ、妾の家に預けられていた疑念を持っており、母親と上手く接することができないのだった。そこで、三女の琴子が伊豆の別荘で八重と暮らすことになった。

 

ところが、八重の痴呆症はますます進行していた。八重は徘徊するようになっており、息子に会いたいからと港まで車に乗せてもらう。洪作は必死に追いかけ、母親に会う。すると母親は、ようやく会えたと口にした。妾に居場所を聞いても教えてくれないと。

 

戦争中のこと、八重たちは台湾に疎開することになった。長男だった洪作は、血筋を絶やさないために日本に残ることになり、祖父の妾に預けられた。八重はそれが嫌で洪作に会いたいと願い、洪作は捨てられたと思い込んでいたのだ。この一件以来、八重の徘徊は収まった。

 

そして、八重もまた死んでいった。

 

<雑感>

 

原田眞人監督はいいねぇ。何もかもがいい。他の映画で「なんか嫌だな」と顔をしかめる俳優や女優も、嫌味なくスッキリした人間に撮ってくれる。変に気になるところがないから、物語の中にすんなり入り込める。映画なんだから物語の世界に没入させてくれないと。

 

それをごく自然にやってくれるのが原田眞人監督なんだね。洪作のわだかまりが解けるシーンの、樹木希林の演技が素晴らしい。

 

☆5.0。良い映画は、何も言わずに楽しむに限るね。