マティアス・ピノチェト監督によるチリのサスペンス映画。出演はジーン・ポール・オルハベリー、ビクター・モンテーロ、アロンソ・キンテロス。
<あらすじ>
マジックが得意なオラシオは、弟のアンヘルを連れ立ってサーカス団に赴き、マジックを披露した。カードマジックはありきたりだと不評だった。団長のネグロは、ふたりに車を消す大掛かりなマジックを披露して度肝を抜いた。
今度はオラシオがネグロを自宅に招待し、脱出マジックを披露した。オラシオと愛し合うようになっていたサーカス団のカルロタも巻き込み、オラシオは用意されていた金庫の中から消えてしまい、サメの腹の中から出てきた。
こうしてサーカス団の一員のなったオラシオとアンヘルであったが、ネグロの愛人だったカルロタを寝取ったことや、ネグロがサーカスを隠れ蓑にして麻薬の密売を行っていることを知ると、オラシオとアンヘルは麻薬を盗み、カルロタを連れてサーカスから脱走を企てる。
ところがあえなく捕まり、オラシオとアンヘルは金庫に詰められて海に捨てられてしまう。
アンヘルは海に飛び込み兄を救おうとする。ネグロはそのまま船で沖へと帰っていく。アンヘルは漁船に助けられたが、オラシオは行方不明のままだった。話を聞いたふたりの父親は絶望して自殺してしまった。
アンヘルは拳銃を買ってネグロに復讐しようとした。ところがすでにネグロはペルー人によって殺されていた。
こうしてアンヘルの警察への供述は終わった。警察は話を信じず、アンヘルの犯行を疑っていた。アンヘルは警備の警察官を殴って警察署から脱走し、新しくできたサーカス団の車に飛び乗った。そこには、オラシオとカルロタがいた。オラシオは金庫から無事に脱出。ネグロを殺した後に麻薬を売った金で自分のサーカス団を結成していたのだ。
<雑感>
アマゾンの評価が星ひとつだったので危うくスルーするところだったが、これはちゃんとした映画作品。ネグロとオラシオは、マジックの腕前とカルロタという美女を巡って争いごとになり、最後は双方が双方を殺す展開に。それを弟のアンヘルの供述により物語っている。
時系列がバラバラになっているのは良くない点かもしれないが、怪しげなサーカスと、ありえない脱出トリックを組み合わせた内容はなかなか面白かった。オラシオが金庫から消え、車で移動しなければならない距離に吊るしてあったサメの腹の中から出てくるシーンは、映画ならではというか、ありえないことを堂々とやって観客を楽しませる勇気のようなものを感じたね。
☆3.2。映画は思い切ってやらないとダメなんだ。