「禁じられた抱擁」(1963年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

ダミアーノ・ダミアーニ監督によるイタリア・アメリカのドラマ映画。出演はカトリーヌ・スパーク、ホルスト・ブッフホルツ、イザ・ミランダ。

 

 

<あらすじ>

 

裕福な母の支援を受けて売れない画家を続けているディノは、あるとき若いモデルとの情事に耽り寿命を縮めた画家のことを知り、そのアトリエを訪ねた。そこには老画家のモデルをやっていたセシリアがいた。ディノはセシリアにモデルを頼み、老画家がしたように彼女を抱いた。

 

ディノは次第にセシリアにのめり込んでいった。だが、老画家はそれなりに名を成してから死ねたが、自分はまだ何もなしていない。このままセシリアに溺れていいのか彼は迷い、旅に出る決心を固めた。ところが、セシリアが別の男性と歩いている姿を目にし、思いとどまった。

 

男のことで言い争いになる。ディノは金を見せびらかし、結婚を迫る。セシリアは彼を鼻で笑い、男の元へと走る。発狂したディノは事故を起こす。それで目が覚めた彼は、セシリアと別れ、自分の道を進もうと心に決めた。

 

一方のセシリアは、なぜか彼のアパートに戻ってきていたが、ディノはもう目もくれない。

 

<雑感>

 

「狂ったバカンス」と「禁じられた抱擁」は、ともに若さと老いを対比させた作品なのだが、この作品のディノとセシリアはともにまだ若い。ディノは若さを失いつつある途中で、モラトリアムの中でずっと暮らしてきたが、老画家が人生の最後に回春として楽しんだ若い女性とのセックスに自分を仮託することで、自分が若くもなく、老境でもなく、朱夏を真面目に生きていないことに気づかされる。

 

一方のセシリアは、ディノよりも若く、まだ焦る年齢ではないが、朱夏に突入する準備を何もやっていない女性だとわかる。彼女は思い付きで多くの男に抱かれるが、自分が何をすべき年齢なのか何もわかっていない。これが、ディノのモラトリアムへの甘えを自覚させる。

 

☆3.6。人生を四季になぞらえたころの中国は素晴らしい文化を持っていたのだなと。