「ジャンゴ 繋がれざる者」(2012年作品)感想 | 深層昭和帯

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クエンティン・タランティーノ監督によるアメリカの西部劇映画。出演はジェイミー・フォックス、レオナルド・ディカプリオ、クリストフ・ヴァルツ。

 

 

<あらすじ>

 

白人のスペック兄弟が奴隷を移送していた。そこにシュルツがやってきて、ジャンゴという奴隷を買うと言ってきた。売り物ではないと断ると、シュルツはスペック兄弟のひとりを射殺、もうひとりも動けなくしてジャンゴを奪っていった。

 

シュルツは賞金稼ぎだった。追っている手配犯はトリプル3兄弟。その顔を知っているジャンゴを手伝わせるために仲間にしたのだ。ジャンゴは自由にされた上で、賞金と馬を与えるとの条件を提示されて喜んで受けた。

 

地主の家を探し回るうち、ジャンゴはトリプル3兄弟を発見した。すぐに始末したことでジャンゴは自由になったが、彼はシュルツにもうひとつ頼みごとをする。それはジャンゴの妻ブルームヒルダを取り返す手伝いをしてくれとの願いだった。シュルツもこれを了承した。

 

ジャンゴの妻を所有していたのは、冷酷な農場主のカルヴィンだった。金を見せて農場の中に入ると、シュルツはブルームヒルダを買い上げたが、カルヴィンに計画を見抜かれて抗争となり、彼を撃ち殺してしまう。これが発端となってシュルツも撃ち殺され、怒り狂ったジャンゴは白人を皆殺しにして、黒人を開放すると妻とともに颯爽と去っていった。

 

<雑感>

 

黒人の側から西部劇を描けばこうなるという見本のような作品だった。最初、クエンティン・タランティーノだと知らないまま見始めて、「この臭い演出はタランティーノに影響を受けたんか?」などとちょっと怒っていた。演出は臭いよな。それが魅力なのだが。

 

黒人を奴隷にして、インディアン(先住民)を殺し、颯爽と去っていく白人の真似をすることが黒人の側から西部劇を描くことではない。黒人のつらい立場を描くのもちょっと違う。それは西部劇というより開拓時代のドラマ映画になるからだ。

 

黒人主人公で、西部劇の爽快感を描くには、奴隷解放と白人への復讐が必要なのだ。裏切り者の黒人や、仲間になってくれる白人も必要。すべて条件がそろっている。

 

☆4.0。マカロニウエスタンなどよりよほど面白い作品。