「マッチ工場の少女」(1990年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

アキ・カウリスマキ監督によるフィンランドのドラマ映画。出演はカティ・オウティネン、エリナ・サロ、エスコ・ニッカリ。

 

 

<あらすじ>

 

ヘルシンキのマッチ工場で黙々と働くイリスは、働かない母と義父の面倒を見ていた。あるとき派手な服を買いディスコに出掛けたところ、アールネという男性にナンパされてそのまま家で身体を重ねた。起きてみるとすでに出社していたので、彼女は連絡先を残して家に帰る。

 

アールネが自分を愛してくれたことに自信を持った彼女は有頂天で連絡を待つものの返事はなく、彼からは一夜限りの遊びで別に愛しているわけじゃないとはっきり伝えられた。

 

ところが妊娠が発覚。これでアールネも振り向いてくれると喜ぶものの、堕胎するよう小切手が送られてきて絶望する。家に金を納めなくなったイリスは用済みとなって家から追い出される。兄夫婦の家で世話になることにしたイリスは、ネズミ駆除剤を購入して水で薄めて持ち歩くようになる。

 

イリスはアールネを尋ねて毒入りの酒を飲ませて殺害。見ず知らずの男性も殺し、最後は両親を殺した。

 

彼女はマッチ工場に出社し、面白くない顔で働いていたところを逮捕される。

 

<雑感>

 

フィンランドと聞いただけで鼻を鳴らして喜ぶどこかのおばさん連中が発狂しそうなほど沈鬱な作品。でもこれが現実では? フィンランドの現実というより、一般庶民の現実そのものなので、普遍性がある作品だった。そういったところが評価されているのだろう。

 

日本でもドイツでもアメリカでも、普通に暮らしている何の才能もない人間は同じなのだ。人生は輝いてなどいない。そういうものだ。

 

☆4.0。アキ・カウリスマキ監督はなかなかいいね。