「パラダイスの夕暮れ」(1986年作品)感想 | 深層昭和帯

深層昭和帯

映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

アキ・カウリスマキ監督によるフィンランドのドラマ映画。出演はマッティ・ペロンパー、カティ・オウティネン、サカリ・クオスマネン。

 

 

<あらすじ>

 

ゴミ収集の仕事をしている独身の中年男性ニカンデルは、同じような日々を淡々と生きていた。そんな彼を好きになる女性イロナが現れたものの、デート内容が気に入らずすぐに別れてしまった。イロナは働いていた店を解雇された腹いせに金庫を盗み出し、ニカンデルを巻き込んで豪遊を始めた。

 

しかし結局金庫は開けられず、イロナは警察に捕まった。ニカンデルが金庫を返却して事なきを得たものの、ホテルにも泊まれずニカンデルの家に転がり込んできた。付き合い始めるかと思われたが、気まぐれなイロナは約束をすっぽかし、ニカンデルに呆れられてしまう。

 

部屋を出ていったイロナに未練たらたらのニカンデル。一方のイロナもニカンデルが忘れられない。また彼の部屋に舞い戻るが、ニカンデルは暴漢に襲われて倒れたままだった。

 

結局付き合い始めたふたり。ニカンデルは新婚旅行に出てそのまま別の町で暮らそうと言い出す。イロナは不安だったが、彼についていくことにした。

 

<雑感>

 

アキ・カウリスマキの名前は雑誌で見たことがあるが、どんな作品を撮っているのか知らなかった。氏の作品はこれが初見。

 

とるに足らない庶民の生活と人生を描いた作品で、庶民、小市民、底辺、など言われ放題になるはずの普通の人々の人生に焦点を当てている。

 

イロナは別に美人でもなく、頼るべき人間を探しているだけ。ニカンデルは仕事をしていたので、それだけで惚れてしまっている。彼女自身もレジ打ちの仕事なので、相手に多くは望んでいない。一方で心の奥では「自分はもっと成功できるのでは?」との気持ちもあるせいか、ニカンデルに入れ込んでいるわけでもない。

 

ニカンデルもイロナの欠点はわかっているのだが、他に付き合ってくれる女もいないので、彼女に執着する。ニカンデルは運命を変えようと船で旅立つことを提案し、安定を求めていたイロナは一瞬不安になるものの他に好きになってくれる男がいないからついていく。

 

庶民の人生なんてこんなものだよな。人生がキラキラしているはずがない。

 

☆4.0。個人的には好みの作品だが、いまの若い子は嫌いそうだ。