「ヴィンランド・サガ S2」(2023年冬作品)第24話・最終回 感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

原作:幸村誠、監督:籔田修平、シリーズ構成:瀬古浩司、制作:MAPPA。



エピソード24 - 故郷

トルフィンはエイナルとともにレイフの船で10数年ぶりに故郷アイスランドへ帰還する。生き別れた姉のユルヴァ、そして母ヘルガと再会し、一時の幸福を享受するトルフィン。虐げられている命を救うため、新たな旅へ出る決意を語り始める。

<雑感>

綺麗な終わり方だった。アメリカ大陸の東側にヨーロッパ大陸からの移住者がやってきていた痕跡が見つかったのは最近のこと。アイデアの基になっているのはおそらくその発見だろう。長らくコロンブスが16世紀になって新大陸を見つけたとされてきたが、定説より500年も早く名もなき人々がアメリカ大陸にやってきていた。

東海岸に流れ着いてカナダから合衆国の東北部まで残る欧州移民らしき人々が作った定住跡は、それがどのような人物だったのかまではわからない。その定住跡を残した人々がその後どうなったのかもわからない。インカ帝国など一部先住民が白い肌と青い目をした人々を神と崇めていたことから、その神話に登場する人々が大航海前に東海岸に流れ着いた人々と同じなのではないかと推測されている。

先住民の神話では、「また必ず来る」と約束して立ち去っているはずだ。それでインカ帝国の人々はスペインの侵略者を神の再訪だと歓迎して滅ぼされてしまった。

劇中でトルフィンが奴隷になり、エイナルと友情関係を結んで農業技術と開拓の技術を身に着けたのは、古インカ帝国が接触したかもしれない11世紀の欧州移民が、農業と商業の知識に長けた人々であったとの推測によるのだろう。インカ帝国の発展はそのときもたらされた農業技術が基盤にあった可能性もある。

ただこれらのことは、すべて推測なのだ。発見されているのは、定住跡のみ。彼らが原住民を支配せず、技術だけを教えて立ち去ったのは、ヴァイキングのように奪うことを嫌ったからだろうか。まさにトルフィンのような経験をしていれば、原住民を脅して土地を奪ったりはしないだろう。