「ガメラ対大魔獣ジャイガー」(1970年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

湯浅憲明監督による日本の特撮映画。出演は炎三四郎、フランツ・グルーベル、夏木章。



<あらすじ>

大阪万博が近づいていた。ウエスター島の悪魔の笛と呼ばれる発掘品の展示に理解を求める沢田圭介だったが、島の文化使節ギボーは展示に反対され困り果てていた。すでに運搬作業は開始されており、現地には発掘隊がすでに巨石建造物を掘り出していたのだった。

現地のウィリアム博士は悪魔の笛を掘り出そうとしていた。そこにガメラが襲来して作業の妨害を始めた。博士の子供トミーとスーザンはガメラが子供の味方だと知っているので喜んだが、博士らはガメラへの攻撃を指示した。そして悪魔の笛は怪音を響かせる。火山が噴火したためガメラは炎に惹かれて火口付近へ移動。発掘は終了して船に積み込まれた。

文化使節のギボーが口にしていたジャイガーとは、悪魔の笛を守護する怪獣のことだった。ジャイガーが悪魔の笛を追い大阪港に侵入。それを追いかけガメラもやってきた。ところがジャイガーの卵を産み付けられてしまい、ガメラは仮死状態になる。しかも体内でジャイガーの幼虫が繁殖していた。

ジャイガーを止める手段はガメラの復活しかないと確信した船舶修理工場の息子弘とウイリアム博士の息子トミーは、小型潜水艇を盗み出してガメラの体内に潜入。ジャイガーの幼虫をトランシーバーの雑音で倒してガメラを救った。復活したガメラとジャイガーの弱点を知った人間が協力して、謎の生物ジャイガーを葬った。

<雑感>

高度経済成長により延命していた大映であるが、もうこのころになると経営が末期状態で、オイルショックを待たずに倒産している。昭和ゴジラがシリーズ中止に追い込まれたのはオイルショックが原因であるが、ガメラは単純に大映の経営難でシリーズが打ち切られた。

だが特撮シーンはかなり頑張っている。前作は予算がなかったために惑星テラのセットを簡単に組んでそこでガメラとギロンが暴れていただけであったが、この作品はもっと多くの風景をミニチュアで再現してある。ウエスター島と大阪の2か所が出てくるだけで大映には大変な出費だったのだ。

ウエスター島でガメラがジャイガーにとどめを刺せなかったのは、ガメラがひっくり返っていたからである。ガメラはどんな敵より自分がひっくり返ってしまう方が苦手なのだ。手足を引っ込めれば火を吹いて空を飛べるのだが、手足が中に入れられないと万事休すである。ガメラ可愛い。

☆5.0。同じ子供たちの味方でも、ガメラの立ち位置はゴジラよりもしっかりしている。迷いがない。