「機動戦士Ζガンダム」(1985年作品)第24話 感想(反撃) | 深層昭和帯

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フォン・ブラウン市がティターンズに制圧された中で、クワトロが政治家として地球に降りてしまう。



地球連邦は軍の指揮権をティターンズに渡す方向に傾いていた。文民統制の放棄に呆れるシャアは政治家たちの宇宙移民を否決覚悟で提案しようと目論んだ。ところがその夜、共に地球へ降りたブレックス准将がティターンズに暗殺されてしまった。ブレックスは、クワトロに君がエゥーゴの指揮を執れと言い残して死んだ。彼はクワトロがシャア・アズナブルだと知っていた。

対案を提出できなかったスペースノイド側は目の前で地球連邦軍の指揮権がティターンズに委譲されるのを黙って見ているしかなかった。

第24話のカミーユくん

①スパイとしてフォン・ブラウン市に潜入するも一瞬でジェリドに見つかる。

2クールくらい終わったところで、カミーユが担っていたウザさをカツとファが代行するようになる。でも女絡みの話題になるとまだまだカミーユもウザい。

カミーユはフォン・ブラウン市を制圧したティターンズ側のモビルスーツの戦力を知るために潜入したのだが、その部分よりも地球に降りたクワトロの方が面白い。

公式のことは詳しくないが、アニメを観る限り、Zガンダムの物語が始まる前に、1年戦争の厭戦気分から地球連邦の政治家の間でジオン公国が発生した原因を自らに求める機運があり、それらリベラル派が政治的に優位な状況があったはずなのだ。

地球連邦リベラル派はジオン・ズム・ダイクンとザビ家独裁を切り離してスペースノイドの言い分を聞きながら懐柔策をもって戦後処理に当たるべきと主張して選挙に勝った。戦争に勝利した連邦政府は相手を思いやる余裕があったのだろう。

ところがそれらリベラル派がスペースノイドの支援を受けて連続当選したことで地球圏の保守派が鬱積を募らせることになった。彼らは落選中に地球資源の枯渇状況などを訴えながら保守反動を束ねる政治活動に集中し、それに呼応する形で軍の内部においてアースノイド優位を唱えるティターンズの母体が結成された。それがスペースノイドを刺激してエゥーゴが生まれた。

この状況下で連邦政府内のリベラル派は旗色が悪くなり、スペースノイドがまたザビ家のようなことをエゥーゴを使ってするというのなら、それに対抗する必要があると認めてしまうことになった。法律で軍を縛っていては機動的な軍組織の運用の妨げになるというので、軍の指揮権をティターンズに委ねる決定をした。

ところが宇宙における保守勢力の一部はザビ家復興こそが真の保守勢力だと思っており、キャスバル・レム・ダイクンとしてはザビ家復興を抑え込みながら連邦政府内のリベラル勢力の復活に期待をかけている。第24話の政治状況はこんな感じなのだろう。いや、オレは公式のことはよく知らん。公式なんて別にどうでもいいんだ。サンライズの社員だろ?

おそらくはこんな感じだが、軍の統帥権を譲渡されたティターンズに逆らう政治家は現れず、ザビ家はミネバを中心に復興されていく。

そうなんだよ。政治家がいないんだ。政治を描きながら政治家が登場しないのがZガンダムなんだな。なぜそうなったかといえば、シャアに何もかも背負わせてしまったから。

何度も書くが、「ガンダム Gのレコンギスタ」のアイーダ、ベルリ姉弟はシャアを分解したキャラクターで、政治面をアイーダが、軍事面をベルリが担っている。父の跡を継いで政治家の道を歩み始めたアイーダと、各地を放浪しながら正しさの形を求めていくベルリのふたりの物語はあそこで終わりではない。GレコにはZガンダムに相当する続編があってもおかしくはないのだ。

なぜ誰もこのことを指摘しないのだろうか? 昔一緒にファーストガンダムを観て熱く議論し合っていた連中はどこへ行ってしまったのか?

「機動戦士Ζガンダム」では不完全にしか描かれなかった政治面が、アイーダという真の政治家を得て、そしてアイーダのライバルとしてクリムというキャラもいるのに、誰も構想しないとは情けない。

富野が「誰かやりたい人がいたらGレコの続編をやって」みたいな話をしていたのは、おそらく「ガンダム Gのレコンギスタ」にファーストガンダムを透かし観たごく少数の人間が、Gレコ版Zガンダムを作ってくれって話だと思うぞ。

ということもおいおい書きながら、残りの感想に盛り込んでいきたい。