「キルラキル」(2013年秋~2014年冬作品)第7話 感想 | 深層昭和帯

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この第7話好きなんだよなぁ。



部活動の活動成果が生徒たちの暮らしに直結する本能字学園の制度を利用することを思いついた纏流子(まとい りゅうこ)が、自ら喧嘩部を旗揚げして満艦飾マコ(まんかんしょく まこ)が部長に就任する。

元々部活の部長たちから狙われていた流子にとっては、敵を倒すたびに部活動の評価が上がって居候している満艦飾家の生活が良くなることから恩返しもかねて一石二鳥のはずだった。

ところがぜいたくな暮らしに慣れた満艦飾家の人々は次第に温かい気持ちを失っていった。温かい家庭の雰囲気を味わわせてくれたことにずっと感謝していた纏流子は、いつしかまた独りっきりで食事を摂るようになってしまった。

悩んだ流子は、マコに退部届を提出した。元のスラム街に戻ればまた温かい家庭に戻れると思ったからだ。だが贅沢な暮らしに慣れ切ったマコはそれを拒んだ。見透かしたように鬼龍院皐月(きりゅういん さつき)はマコに2つ星極制服を与え、纏流子と戦うように指示した。

纏流子は本気を出さず満艦飾マコに殴られ続けた。だが殴り続ける満艦飾マコもまた本気を出していなかったのだ。彼女は欲にまみれてしまった自分を反省して2つ星極制服を脱ぎ捨てた。

こうして満艦飾家は元のスラム街に逆戻りした。だがそこには温かい家庭が蘇っていた。

喧嘩部の活動を容認していた鬼龍院皐月の真の狙いは、各部の部長たちの実力を見極めることであった。喧嘩部が学内で無双状態だったことを重くみた彼女は、学園秩序を新たに構築しなおすために「壊惨総戦挙」を行うと宣言した。

ここまで。

満艦飾家と纏流子の気持ちのすれ違いを通じて、戦後の日本が目指してきた成功と突き当たった失敗を描いているわけだが、たった20数分でこの密度、面白さ。詰め込みながらも視聴者の興味をしっかりつかんで離さない。これがなかなかできないんだな。傑作であるゆえんだ。

おそらく作っている方も昭和との決別を意識して、最後の表現だろうとこうした作品に取り組んでいたはず。もうこういう昭和テイストは作られることはないはずだ。

ただ、ずっと不況で人と人との対立が激化した平成が、はたして昭和のように懐かしまれるのかという疑問があり、アニメ業界がずっと惰性で同じような作品を作り続けているのを眺めていると、昭和テイストではなく昭和にやったドラマを下敷きにまったく新しいことにチャレンジして平成的なものを捨てていく流れも起きないとも限らないので、アニメ業界はちょっと引いたところから観察だけはしておいた方がいいかもしれない。どんな表現者が出て来るとも限らない。いまのところはあまりいないようだが。

物語や演出には基本となる型がある。突飛なものを求めない方がいまは新鮮に感じるかもしれない。