「どろろと百鬼丸」(1969年作品)第21話(まいまいおんば)感想 | 深層昭和帯

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馬車に揺られる駕籠がある。御簾を上げ内より百鬼丸を見つめる怪しい女がいた。



女は百鬼丸から姿を隠すと、主人に対して「あの者は必ず災いをもたらすからいますぐ斬った方がいい」と話した。侍である主人は百鬼丸とどろろに宿を貸すと申し出てふたりをまんまと連れ出すと、崖に追い詰めて騙し討ちにした。

百鬼丸は崖下へと転落し、侍は死んだとみてその場を立ち去っていった。

ところが百鬼丸は死んではいなかった。侍が屋敷に戻るとすでに百鬼丸とどろろが待ち構えていた。ふたりは侍に宿泊させてくれるはずだと言い放ち、妖気を漂わす家の妻もそれを了承した。

屋敷の中には土蔵があった。侍は妻との約束で土蔵の中は検めないと決めていた。だがその晩に百鬼丸らが妖怪に襲撃されたと知って不安になった侍は約束を破って土蔵の中を調べることにした。

後をつけたどろろは侍の妻に見つかってしまった。土蔵の中には何もなかったが、その隠し地下には妻が育てている巨大な繭があった。どろろはノタが飛びついた隙に繭に火を放った。妻は妖怪の姿となってと去った。百鬼丸とどろろは、侍の後をつけて化け物の居所を探った。

辿り着いたのは川のほとりであった。夜を待って近づくと、池の中から蛾の妖怪が現れた。どろろは蛾に向かって松明を投げつけ炎上させた。その隙をついて百鬼丸は蛾の妖怪を斬り殺した。

百鬼丸には本物の脚が戻った。

というお話。人間が妖怪変化と婚姻する話は日本に古くからあり、幽霊と契るだの、蛇と契るだの、なかには野菜の蕪と契るだの様々なパターンがあり、妻が妖怪だったという話も多い。今回の話はその類型で、相手は蛾の妖怪で、侍の土地に入り込んで子をなそうとしていた。

水棲昆虫のつもりだったのか、棲家は池の中で、侍がなぜその場所を知っていたのかなどは謎のまま。侍のその後のことも語られていない。

蛾の妖怪と書いたが、マイマイカブリのことだと思う。劇中ではマイマイカブリっぽい描写がなかったので、何を意図していたのかはいまひとつわからない。