「劇場版 SHIROBAKO」(2020年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

水島努監督による日本のアニメ映画。制作はP.A.WORKS。



<あらすじ>

武蔵野アニメーションの会社経営は傾いていた。多くの人材が退社していくなか、ラインプロデューサーになった宮崎あおいだけは会社に残っていた。社長の渡辺から劇場版の制作の話があると聞いたあおいは、それが他の制作会社が放り出し、「空中強襲揚陸艦 SIVA」というタイトルだけ決まっていてあとは白紙のままになっているいわくつきのものと知り尻込みする。

以前の社長丸山に会って励まされたあおいは、劇場版の制作を引き受けることを決意。しかし通常2年はかかる製作期間が10か月しかない。そこで古い設定の使い回しやかつての仲間、そして上山高校アニメーション同好会の友人たちをフル動員して何とか完成の目途を立てた。

ところがまたしても監督の木下が完成間近になって終盤の展開が気に入らないと言い出す。スケジュール的に無理だと誰もが木下KILLな気持ちになるなか、あおいだけは作り直すことに同意。スタッフを叱咤激励し、頭を下げ、ついに劇場版は完成した。

<雑感>

映画館に行くつもりでいたのに、謎の疫病(当時)コロナウイルス感染症(COVID‑19)に嫁が罹患するのが怖くて見送ってしまった作品。嫁はそこそこの大手術をしているので免疫力が弱い。いま思えば映画は見送って正解だった。ただこうして視聴してみると完成度が高く、映画館で観たかった気持ちは強くある。

「SHIROBAKO」放送時、劇場版を作る劇場版を作ればいいじゃんと感想記事を書いた記憶があるけど、こんなに面白い作品になるとは思わなかった。どん底の状態から劇場版製作で昔のスタッフが集結して(会社が傾くきっかけになった製作中止作品のリベンジでもある)、さらに宮森らアニメーション同好会の夢も叶えるまとまりのある作品だった。

☆5.0。P.A.WORKSは身内が企画して身内だけで作ると全然面白いものが作れなくなった。「コアになれる表現者」って言い方をしているけど、P.A.WORKS的じゃない人がひとり入ると面白くなるんだよな。身内だけでやると同じことの繰り返しになっちゃう。