「エリジウム」(2013年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

ニール・ブロムカンプ監督によるアメリカのSF映画。出演はマット・デイモン、ジョディ・フォスター、シャールト・コプリー。

 



<あらすじ>

文明は二極化が最大化され、富裕層は大気汚染の進む地球を捨ててスペースコロニーで優雅な生活を送り、貧困層は地球のスラムで惨めな生活を強いられていた。コロニーはエリジウムと呼ばれた。

地球で暮らすマックスとフレイはいつかエリジウムに行きたいと願っていた。大人になったマックスはエリジウム関連工場で働き、フレイは結婚して娘を授かった。しかし娘は白血病に犯されている。再会を喜ぶマックスとフレイだったが、マックスが放射線を浴びてしまって余命5日と宣告された。

そのころエリジウムでは、反移民法を強行するデラコートと、コロニー関連企業のCEOカーライルがクーデターを画策していた。余命わずかしかないマックスはそれを利用してカーライルの脳内情報をダウンロードして奪おうとした。連絡を受けたデラコートは傭兵のクルーガーを差し向けた。

マックスはダウンロードに成功してフレイの家に逃げ込んだ。フレイは娘を助けてくれと頼んだがマックスは断った。彼はクルーガーと取引して、脳内にダウンロードした情報と引き換えにエリジウムへ連れていけという。クルーガーはフレイらを人質にしてエリジウムが向かうが、船が大破してしまう。

クルーガーは任務失敗を咎められて激怒。デラコートを刺してマックスを追撃。マックスは何とか生き延び、管制室へ潜入するとデータをアップロードした。これによって地球人もエリジウム市民と認識されるようになり、医療ポッドが派遣されてフレイの娘も助かった。

<雑感>

拡大する格差問題を背景にしたSF作品で、なぜエリジウム市民と地球市民が区別されているかは問わず、悪くて狡い一部の人たちがとてもいいことを独占しているからそれを解放したとの薄甘いリベラル思想が根幹にある。

平等な権利を基にしてエリジウムが理想郷になり得るのならば、地球上にもエリジウムに比するものを作ることができる。結局は、高い義務意識をもって決められたことを順守できる人間と出来ない人間が区別されているだけなのに、そこまでは深く考えないようだ。

☆4.0。悪貨を駆逐しない平等な社会体制は、理想から遠ざかるのである。理想に近づきたいのであれば、強い義務意識をもって義務を貴び、無秩序な権利の拡大を警戒しなければならない。

思想的には見るべき点はないが、映像作品としては面白かった。CGがめっちゃすごい。最近アマゾンの謎映画ばかり見ていたので、楽しんだ。内容はただの暴力革命。