「紳士協定」(1947年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

エリア・カザン監督によるアメリカの歴史映画。出演はグレゴリー・ペック、ドロシー・マクガイア、ジョン・ガーフィールド、セレステ・ホルム 。

 



<あらすじ>

ジャーナリストのフィル・グリーンはユダヤ人差別についての記事を頼まれたが、彼はユダヤ人ではないので困っていると、ユダヤ人のフリをしてその体験記を書けばどうかとの話になった。グリーンバーグというユダヤ風の名前に変えるとたちまち差別が始まった。

アイデアはキャシーのものだった。フィルは差別を体験しながら彼女の美しさに惹かれていき、プロポーズしてみた。キャシーはフィルがユダヤ人でないと知っているのでそれを家族に告げようとするとフィルはそれを断り、結局ユダヤ人のままお披露目することに。すると親戚は誰も集まってこなかった。

記事が出来上がって公開されると同時に、記者であるフィルがユダヤ人でないことも併せて発表された。すると周囲の態度は豹変する。婚約を解消していたキャシーも、彼とのやり直しを決意する。

<雑感>

ユダヤ人迫害がどんな理由によるものなのか、日本人にはなかなか理解できない。キリストを処刑したのがユダヤ人だからという理由で何千年も差別されるわけがない。徴兵拒否をしているわけでもなし、「ベニスの商人」的な差別がずっと続いているということは、何かがあるのだろう。

満州を支配していた帝国陸軍が、ユダヤ人迫害を理由にドイツとの同盟を破棄して満州に大量のユダヤ人を入植させていたらどうなっただろうかとシミュレーションしたいと思いながら結局できずにこの年になってしまった。こういうことは時間のある学生のうちにやっておくべきことだ。

☆5.0。日本人の朝鮮人への嫌悪と朝鮮人の日本人嫌悪を白人が理解できないのと同じように、ユダヤ人差別だけは根っこのところを理解できないままだ。