「思い出のマーニー」(2014年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

米林宏昌監督による日本のアニメ映画。制作はスタジオジブリ。

 

 

<あらすじ>

 

幼いころに親族を失った杏奈は親族をたらい回しにされた挙句施設に送られ、そこで現在の両親に引き取られたが、義父が亡くなり、義母と一緒に暮らしていた。児童手当のことで、自分は金目当ての子供だと思い込んだ彼女には、心を開く相手がいなかった。

 

喘息持ちの彼女は、田舎の義母の親戚宅に預けられることになった。サイロのある田舎の町でさらに孤立することになった杏奈は、ふといまでは使われていない大きな邸宅の前に迷い込んだ。なぜか彼女はその家のことを知っている気がした。

 

近所の子供とも上手くいかず、相手をひどく罵ってしまった杏奈は、自己嫌悪に陥り、船をこいで邸宅へ向かう。そこで彼女は、マーニーという少女に出会った。マーニーは自宅での盛大なパーティーに杏奈を潜り込ませて楽しんだ。帰り際、マーニーは「また私のことを見つけてね」と杏奈に頼んだ。杏奈にはその意味がわからなかった。

 

杏奈はマーニーに会うために屋敷に向かったが、そこはもぬけの殻で、絵を描いている女性の話では近々工事が入るという。そこで知らない少女彩香に出会った杏奈は「あなたがマーニー?」と話しかけられた。彩香はマーニーの日記を持っていた。そこには杏奈と過ごした日々のことが記されている。

 

少女と杏奈は一緒にマーニーを探してみることにした。すると突然マーニーが姿を現し、杏奈を屋敷の敷地内に連れていく。そこでふたりは、互いの置かれた状況を話し、お互いに「あなたならよかった」と口にする。そしてふたりは、サイロに探検に出掛ける。するとマーニーの様子がおかしくなり、杏奈と和彦の区別がつかなくなった。

 

サイロで一晩を過ごすと、マーニーは消えていた。また置いていかれたと苦しむ杏奈は、マーニーを探し求めるが、途中で倒れて動けなくなってしまった。彩香が兄を連れて杏奈を助けたが、杏奈はマーニーがこの場所にいない人間なのだと痛感した。サイロの場面に、本当は杏奈はいなかった。そしてマーニーは姿を消した。

 

杏奈は、絵を描いていた女性久子がマーニーの知り合いだというので話を聞いた。久子が話すマーニーの物語は悲しいものだった。孤独な幼少期を過ごしたマーニーは、和彦と結婚して家庭を持ったが、和彦が死に、自分も病気を患ったことから、子供を施設に預けた。親に捨てられたと感じた娘は、マーニーを恨んだ。娘も結婚したが、事故で亡くなり、子供はマーニーが引き取って育てていたものの、翌年にはマーニーも亡くなってしまう。

 

それがもう10年前の話だというのだ。

 

家に戻った杏奈は、自分がそのマーニーの孫だと知る。

 

その日以来、杏奈の心のわだかまりは解けていき、明るい少女に生まれ変わった。

 

<雑感>

 

「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」と決して悪くない作品を2本も作って、なんだか評判がいまひとつな米林宏昌。オレは宮崎駿の後期の作品よりは余程好きなんだけど。

とくに「思い出のマーニー」は良かったよ。「借りぐらしのアリエッティ」より個人的には好み。演出にメリハリがあるからね。

宮崎の後継者とかそういう話になるからおかしくなるんで、米林は彼なりに新しいキャリアを積んでいってほしいんだけど、ジブリを退社していま何をやってるんだろうね。まだ40代前半くらいのはずだから、アニメ監督としてはこれからでしょ。

 

ジブリと比較し得る恵まれた環境はどこにもないかもしれないけど、ロリコン老人の下で少女もの原作しかやらせてもらえなかったんだから、少年主人公の活劇などにもチャレンジしてくれるのを願ってる。

☆5.0。英国の児童文学を上手く日本に置き換えた脚本が見事だった。