「探偵クレア 白蘭の女」(2017年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

スティーヴ・アンダーソン監督による探偵映画。主演はオリヴィア・サールビー。

 



地味な外見で警察から信頼を得ているクレアという女性探偵。次に彼女に回された事件は「白蘭事件」と称される殺人事件だった。保安官に会ってみると、被害者は遺体を切り刻まれ頭部がない、身分証明書などは偽造、誰だかわからないが、セックスの相手を家に連れ込んでいたり、ボランティアには参加していた。クレアには捜査権が与えられた。

被害者宅は豪邸だった。女性を美しく飾り立てるものが数多くあり、ガレージには高級車、そして警察が発見できなかった大金はドアの上部をくり抜いて隠してあった。大金と一緒に何かの鍵も見つかった。クレアは被害者の香水をつけたり髪型を変えたりするようになった。

ボランティアで訪れていた老人から、被害者はジュリエットと名乗っていたとわかった。老人の家にはジュリエットの旅行カバンが預けられていた。鍵はその旅行カバンのもので、中身は札束と拳銃であった。そこに電話が掛かってきた。男の声でクレアの名前を呼び、電話は切れた。同日、老人の家には強盗が入った。警察はクレアが聞き込みをした日に強盗が入ったことを怪しんだ。

クレアは地元保安官ではなく警察署に金と一緒に見つかった絵だけを渡した。絵にはジェシカと署名があった。クレアはそれがジュリエットの本名だと推理した。

彼女は自宅の隣人にトランクを預かってもらった。また電話が掛かってきて、リンカーンが走り去るのが見えた。

クレアは被害者宅の香水だけでは飽き足らず、下着やウィッグも着用し始めた。彼女が着飾って恍惚としていると、少女がふたり被害者の邸宅に忍び込んできて、写真を撮った。クレアは翌日の新聞に載ってしまったが、警察はまだ彼女とは気づかず、新聞も白蘭の幽霊だと書いていた。

クレアはサンフランシスコへ旅行して、両親の弔いをしたのちに帰宅した。サンフランシスコでは外科医の妻がヨットで失踪した事件が世間を賑わわせていた。クレアは被害者の遺体がメスのようなもので切り刻まれていることを思い出していた。

隣人はリンカーンの男が銃を持っていたことに恐怖して旅行カバンを返すと言ってきた。カバンは老人の家に戻された。

クレアの推理では、外科医の妻シルビアは外科医とジェシカの浮気に耐えられず失踪。外科医がジェシカを殺害した。確認のために彼女はジェシカの服装でサンフランシスコのバーへ行った。すると外科医のハーディはジェシカと勘違いして声を掛けてきた。クレアは、いいえあたしはシルビアと応え、私は知っていると念を押した。ハーディンはその場を離れていった。

バーのウエイターはクレアの格好を見て、ジェシカ・デュポンという名前を思い出した。クレアはすぐさま保安官に電話した。するとカバンを預けていた老人が心臓発作を起こしたと聞かされたので、カバンを確保してくれと頼むとすでに保安官はカバンを押収していた。

クレアは、ハーディン外科医が痴情のもつれからジェシカ・デュポン=ジュリエットを殺したと確信した。クレアはバーで話しかけてきた女のところに戻った。彼女は友人が1年前にジェシカ・デュポンと会ったはずだと話しかけてきて、クレアをジェシカだと思い込んでいた。

女はレズビアンで、クレアとクラブへ遊びに行ってそのあと一夜を一緒に明かした。翌日女は消えており、保安官からの連絡でハーディン医師が殺されたと連絡があった。保安官はクレアの逮捕状を用意させた。クレアは女友達のティナに電話を掛けて、医師殺しの犯人がわかったと告げた。

ジェシカの自宅にやって来たクレアは、そこでジェシカと対面した。ジェシカはバーで話しかけてきたレズビアンの女だった。

ハーディン医師を誘惑したジェシカは、自分と妻を入れ替えて替え玉殺人をすることを思いついた。ハーディン医師はジェシカと偽って妻のシルビアを殺し、ジェシカをシルビアと見せかけてわざと失踪させてた。さらにジェシカをビアンカという名の女性に整形させて一緒に暮らそうとしていたが、ジェシカは悪い女でハーディン医師を脅して全財産を奪い、逃げようとしていた。

ジェシカは一夜を明かしたクレアと再びキスをした。クレアは女がジェシカではないことに気づいた。

クレアは保安官に推理を話していた。保安官はジェシカが家を出る際に逮捕した。これで一件落着かと思われたが、クレアはどこかおかしいと感じた。

翌日、保安官から連絡があり、逮捕したジェシカは女優で、40万ドルの報酬で逮捕されたのだと知らせがあった。浜辺にいたクレアは、屋敷にあった白蘭の花が浜辺に置かれているのを見つけた。その横を赤いスポーツカーから手を振りながら、誰かが走り去っていった。

という話。要するにジェシカがふたり用意されていたというのがトリックだ。

本名不詳の謎の女がいる。その女はハーディン医師を誘惑して妻殺しを吹き込む。真に受けたハーディン医師は妻のシルビアを殺し、白蘭の女ジュリエットだと思わせた。家には妻の歯ブラシなどを置いて、DNA鑑定を潜り抜ける。

シルビアに成りすましたジェシカは、ヨットで旅に出る前に夫婦喧嘩をして失踪したことにする。シルビアに成りすましたジェシカをビアンカに整形して正体を隠す。そして翻意したふりをしてハーディン医師を脅し、全財産を巻き上げ、そのうちわずかな金を老人に託して手掛かりを残す。

だが保安官が無能で証拠を見つけなかった。保安官がバックと鍵を見つけていれば、リンカーンの殺し屋役に罪を押し付けて終わりだった。しかしそれをクレアが見つけたので、今度はクレアをジェシカ殺しの犯人にしようと画策した。

だが、クレアはこれも逃れた。興味を持ったジュリエット=ジェシカ=ビアンカはクレアに接触して、自分と同類のレズビアンであることに安心し、最後の保険であったもうひとりのビアンカをジェシカ役にして40万ドルを与え、逃亡することに成功した。

こういう話だ。

なかなかエロティックなところもあって悪くはないが、クレアがジェシカに惹かれていった過程を、レズビアンの雰囲気を嗅ぎ取ったからとハッキリ描写するシーンがあればもっとまとまりが良かった。ちょっとだけ惜しい。あとは、クレアの取り調べシーンからクレアとビアンカ(偽)が屋敷で再会するシーンが唐突過ぎるかな。

☆3.8。結局本物の白蘭の女は誰なのかわからないままだ。クレアと寝た女がその人物である。