「ブラザーズ・ブラッド」(2015年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

ブルーノ・ヘルナンデス監督によるアルゼンチンのクライムアクション映画。主演はダニエル・アラオス。と言われても誰だかわからない。アルゼンチンの俳優でしょう。

 



どうでもいいけど、登場人物がハゲばっかりなのはなぜ? 善人も悪人もすべてハゲ。若い男の子以外全部ハゲ。アルゼンチンはハゲが多いのだろうか?

ひとりの女性の葬儀が行われていた。女性はマフィアのボス、ビセンテの母であった。そこにホランという人物が姿を現した。ホランはかつてビセンテの片腕として数々の殺しを請け負ってきた凄腕であったが、なぜか忽然と姿を消し警察も行方が分からずにいた。

街へ舞い戻ったホランは、復讐が目的だと告げ、マフィアの幹部から下っ端まで次々に恫喝していく。だがかつての彼を知る者は殺し以前に彼を歓迎しようとする者はまったくいない。兄は彼が組織を去ったのちは死んだと思い込んでいた。それは昔の恋人でさえそうだった。

ホランが復讐を開始し、ビセンテもこれに応じて抗争状態となった。麻薬捜査官はビセンテを追いかけて証拠を掴みかけていたが、ホランのことを話してしまったために上層部からビセンテに情報が漏れてしまった。捜査官である彼女も部下も命の危険に晒された。

裏をかいてビセンテの家に侵入したホランは、兄を父親が残した猟銃で脅し、自動車を運転させてある場所へと連れて行かせた。そこはふたりの父の猟場だった。いつも不機嫌で暴力的だったふたりの父は、ふたりと犬を連れてここを訪れて鳥を撃つのが趣味だった。

ある日、父が狙いを定めているときに、ビセンテが枯れ枝を踏んでしまい、音に驚いた鳥が逃げてしまった。父はビセンテを殴ろうとした。だが思い止まって、犬を殺した。寡黙で威圧的な父親だった。

幼い日のビセンテは、ホランに、この苦しみを終わらせようと耳元で囁いた。そして父から猟銃を預けられていたホランと一緒に引き金を引いた。弾丸は父に命中し、死んだ。ビセンテはホランに、オレのいうことを聴けと命じ、家に帰ると母にはホランが父を殺したと告げ口した。

以来、母はホランを嫌うようになった。ホランは自分でも父を殺したのは自分だと思い込んでいたために、兄の指示に従い右腕としてマフィアで殺しを行った。

ホランは兄を殺そうとしたが、彼の家族への想いは深く、どうしても撃てなかった。ホランは家族写真とともに猟銃を地面に叩きつけた。それを拾ったビセンテは、写真を一瞥して可愛かったなと呟いた次の瞬間にそれは昔のことだと吐き捨て、猟銃を構えた。ホランは泣きながら、銃を撃てば兄貴が死ぬぞと警告した。ビセンテは死ぬのはお前だと引き金を引いた。

猟銃には細工がしてあり、引き金を引くと暴発するようにしてあった。ビセンテの頭は吹っ飛び、即死した。ホランは兄の亡骸にすがって泣いた。

ホランは麻薬取引の証拠を警部に手渡し、再び街を去っていった。

という話。

足を洗ったホランが母親の葬儀までの7年間姿を消して戻ってきたのは、兄弟喧嘩でどちらかが死ぬところを母に見せないための配慮であった。ホランを嫌っていた母だったが、ホランは母を嫌ってはおらず、一家離散の原因を作ったビセンテを恨んでいたのだ。また麻薬取引には手を出さないとの約束を破ったことも頭にきていた。

こんな話で、復讐譚なのだが・・・恨みの根拠がちょっと弱いかなぁ。父を銃で撃ってしまったホランの後悔の重さを前半のどこかで描いていてくれると後半がもっと説得力を持ったはず。

悪知恵の働く兄貴を、純粋な弟が殺す話で、その原因は兄貴が家族を壊したからであった。重々しい雰囲気の割には動機が弱いが、なーに、ウィスキーでも飲んでりゃ細かいことなどわかりゃせん。雰囲気だけは100点、内容を加味すると55点くらいの映画だった。