「Stay」(2005年作品)感想 | 深層昭和帯

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マーク・フォースター監督によるサスペンス映画。主演はユアン・マクレガー。

 



精神科の医師サム・フォスターが以前の医者の患者であったヘンリー・レサムの治療を引き継いだ。ヘンリーは幻覚症状を示していたが本人が寡黙であるため症状が掴みにくく、また時折余地のようなことをする青年であった。

彼は初対面の盲目の医者を父といってみたり、声が聞こえるといってみたり、何かの現象に見舞われているのは確かだが、彼の中で何が起こっているのか理解しかねた。

ヘンリーは自分が自殺する日を口にした。それを聞いたサムは他の医師とも相談して、土曜日に死ぬというのなら金曜日に入院させようと考えた。ところがヘンリーは姿を消してしまった。

慌てたサムは彼の自殺を阻止しようと彼を探した。彼は両親は死んでいると話していたが、彼の両親は生きていた。母親に会いに行くと、彼女はサムをヘンリーだと言い張って会いたかったと話した。彼女は支離滅裂でこめかみに酷い傷を負っていた。サムは彼女の飼い犬に腕を噛まれて医者へ行った。

そこに街の保安官がやって来た。彼女はヘンリーの母の高校の同級生で、葬儀にも出たと話した。ヘンリーの母親は数か月前にすでに死んでいた。

サムは自分が木曜日に見た光景を再び目にしていることに驚いて混乱した。サムは徐々に混乱して自分がどんな存在なのかわからなくなり、それでもヘンリーを追い続けてようやく彼を追い詰めたが、彼はサムの目の前で自殺してしまった。

ヘンリーが銃で自殺を図った瞬間、世界の謎が解けた。これまでの世界はヘンリーが最後に見たものを再構成して作られた夢のようなもので、ヘンリーは自動車事故を起こしたときに死んでおり、多くの人間を巻き添えにした。サムは彼を救助した医者。サムの妻はそのときに治療を手伝った看護師だった。

という話。いわゆる夢オチで、死ぬ寸前に過去の記憶が走馬灯のように甦るといわれているが、その状態について描いた作品だった。夢オチでちょっとガッカリした。

要は全部夢で、ヘンリーは過去の記憶を追体験しながら死ぬ寸前まで辿り着いたが、死があまりに突然だったために最後の部分が混乱しているのだ。

彼は自分が死ぬほどの事故を起こしたと記憶しているので、自分の死ぬ日がわかる(土曜日に死ぬとの予知)、事故を起こしたときに近くにいて彼を救助した医者が名前を名乗ったので医者がサムという名であることを知っている、看護師はただそこにいただけだが、ふたりで並んで彼を治療しているのでヘンリーには夫婦に見えていた。だから夢の中ではサムと看護師は夫婦になっている。

こんな感じだ。幻想的という評はまるで間違いで、死ぬ寸前の混乱した記憶をそのまま映像にしただけなのだ。

悪い作品ではないが、夢オチというありふれた結末には失望した。

読解力のない人には幻想的で美しく、夢と現実が入り乱れた作品に見えるらしい。脳に大きな損傷を追っているので記憶が混乱しているだけだっちゅうの。