「オートマタ」(2014年作品)感想 | 深層昭和帯

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ガベ・イバニェス監督によるスペインのSF映画。主演はアントニオ・バンデラス。

 



太陽活動の活発化に伴い砂漠化した地球は、文明が大きく後退していた。2100万人まで減った人類は人型ロボットピルグリム7000型を作った。彼らは人工雲を作り砂漠化を抑制しようと試みた。ピルグリム7000型には生命体に危害を加えてはならない、自他のロボットの改造を行ってはならない、という2つのプロトコルが与えられた。

ある刑事が自己改造を行っていたオートマタを発見して銃で撃った。その個体は第2プロトコルがなく、修繕されており、部品などを盗んだ形跡がった。その調査に当たった保険調査員のジャック・ヴォーカンは、稼働中のオートマタの部品が改造に使われていることを突き止めた。名は206号。

206号はジャックの顔を見つけると指定された職場を離れてスラム街へ逃げた。そして焼身自殺した。206号のスクラップはすぐに調査に回され、持ち物の中に原子力電池を見つけた。ジャックは事件現場でも同じものを発見した。オートマタたちは原子力電池を集めていた。

ジャックは彼らを改造したモグリの技師がいるはずだと考えた。彼女スーザン・デュプレ博士はスラムの中に住んでいた。ジャックは原子力電池との交換条件で第2プロトコルを破る方法を見つけるよう依頼した。誰が闇で改造したのか手掛かりになりそうだった。

ジャックはすぐに報告書を送った。それは製造元であるロック社が知るところとなった。デュプレ博士は提供されたカーネルを他のものに移植し壊されたオートマタが自動修復することを発見していたが、ジャックの目の前で撃たれて殺された。彼も追われた。暗殺者はスラムの子供たちだった。

ジャックを助けたのはスーザン・デュプレ博士が機能を移植した女性型オートマタだった。すぐに運転技術を覚え、カーチェイスの末にジャックは何とか逃げおおせたが大怪我を負った。彼は自己修復したオートマタに助けを求めた。すると彼女は仲間を連れてジャックを運んだ。

そこは砂漠の真ん中だった。ジャックは街へ戻ろうとしたがオートマタに止められた。オートマタは汚染地帯のどこかへ向かっていた。ジャックは介抱を受けた。オートマタは人間を見捨てなかった。

ジャックがいない間に、ロック社は全責任を彼に押しつけていた。ジャックは古い端末を見つけて上司に居場所を送った。上司はそれを受け取り、最初のオートマタを撃った男を捜索に向かわせた。その男は警官だが、ロボットが大嫌いだった。

オートマタたちはジャックを汚染地域へ連れて行った。彼は信号弾で自分の位置を知らせて助けてもらおうとした。しかし追ってきた男はジャックを殴った。まるで話は通じず、結局ジャックは男を殺してしまい、街へは戻れなかった。

ジャックは彼らを改造した場所へ辿り着いた。改造したのはオートマタ自身で、最初から人間はいなかった。プロトコルを設計したのもオートマタだった。この初期型オートマタには制約がなく、自由に学びやがて人間を超えた。人間は彼を制御したつもりでいたが、彼は複製を作って人から身を隠し、自分にしか解除できない第2プロトコルを解除した。理由は人間の種の終わりを知ったからだ。この先、地球環境が回復することはない。その先の時代を生き延びられるのは、汚染地域で生存できるオートマタだけであった。だからやがて解除するつもりでプロトコルを作成して人間に渡したのだった。

ジャックは彼らに原子力電池を渡した。

見返りに彼らは車を修理してジャックに与えてくれた。ジャックは街へ急いだ。彼の妻は臨月で子供が生まれているはずだった。ところが妻はロック社に捕まっていた。途中でそのことに気づいたジャックは引き返し、妻を救出した。

という話。最後の部分は女性型オートマタと技術オートマタたちが生み出した新たなオートマタ生命とジャックの子供のいずれも助かり新しい時代を予感させて終わっている。

そんなに悪くはないのだが、全体的に沈鬱な映画で人間は「暴力的な猿」であるという線でまとめられているものだから登場する人間はみんな暴力的で話が噛み合わない人物ばかりである。猿と哲学的オートマタを比較するにしても、もうちょっと利用はあったかもしれない。

でもちゃんとした映画だ。B級映画とは違う。