「僕だけがいない街」(2016年作品)感想 | 深層昭和帯

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平川雄一朗監督の実写版「僕だけがいない街」を視聴。藤原竜也が見たかっただけなんですけど。

 

 

<あらすじ>

 

藤沼悟は、事件が起こる直前に戻ることができた。彼はそれをリバイバルと呼んでいた。ところが知り合いの佐知子がアパートで殺された事件のとき、服に血がついてしまい、警察に追われる立場になる。逃走中、彼はそれまで起こったことのない長期のリバイバルを経験し、小学生に戻ってしまった。

 

佐和子を救うためには、事件の最初の被害者を救わねばならなかった。その少女の名は雛月加代。彼女の事件をきっかけに、犯人は佐和子を殺さねばならない立場になった。犯人を探る悟。何とか加代を保護したがリバイバルは終わらず、真犯人を捕まえるしかないとわかる。

 

その犯人は、教師の矢代だった。矢代は虐待を受けていた加代を助ける立場にあったが、児童相談所に訴え出ているとの話はすべてウソだった。悟は犯人を探し当てるが、逆に橋の上から突き落とされてしまう。目が覚めたとき、彼は病院のベッドの上だった。

 

彼は矢代と再会する。矢代は婿養子に入り、苗字を変え、国会議員になっていた。一方で、少女の殺害を続けていた。悟は矢代と対決し、すべてを明らかにする。彼は矢代に刺されてしまうが、犯行は警察に知られ、矢代は逮捕される。加代と佐和子は、悟が守り切った。

 

<雑感>

この作品はアニメの出来が素晴らしくて、驚くほど引き込まれる展開に毎週ワクワクして視聴していたのですが、さすがに2時間にまとめるには題材が悪かったかもしれない。リバイバルして小学生に戻ったところがとくに難しい部分で、主役の藤原竜也がそこだけ使えず子役で進行していくのはきつそうでした。

でもよくまとめてあって悪くはなかった。藤原竜也も観られますし。

時間軸がふたつある作品なのでもっとぎゅうぎゅうに詰めて早口の演技でつないでいく方法もあったでしょうが、それはやらずにオリジナルで展開させる方法を取っていました。尺に余裕のあるアニメと比較するとつらいですけど、こういうものだと思えば悪くはない。

それに原作もアニメもオチはそんなに強くなくて、先生が殺人を犯す動機もそれほど深くはないからちょっとアンハッピーな展開ですが、さわやかな終わり方で好感が持てました。

幼児虐待を扱った作品を実写でやるのは演出が難しいですね。全部画面に映してしまうと胸糞悪くなるし、ぼやかせばラストのカタルシスがなくなる。「絵じゃん」のアニメが優れているのはまさに絵であることで胸糞悪さが中和されるというのもあります。

原作、アニメ、実写劇場版と見てどれも良かった。ただこの作品のネットフリックスオリジナルドラマは全然面白くない。あれは演技が酷くて見ていられなかった。

☆3.5。この劇場版は藤原竜也なので安定感がありますね。