甘橿の丘を降りて、次に向かおうとしたのは、天香久山。
午前中に歩いた距離と同じだけ移動するだろうと、ちょっとお疲れの足と相談するも…行きたいものは、いきたいのだ。
「あすか夢の楽市」という農産物直売所で、この日の夕食にしようと柿の葉寿司を買う。
コンビニがあるかなと思ったが、この日コンビニとは、一度も遭遇せず、買っておいて良かったと思う。
県道の交差点の角に、雷の丘という史跡がポッコリとあった。
『雷』は、とても大事な言霊なので、とても気になりながらながめて通る。
雷の丘は、小さなまるい丘で、麓には可愛い花が植えられていた。
なんにもなさそうなのに、こんな交通の要所のような所に手付かずのようにポンとあるのも不思議な感じだった。
帰ってから調べると、雄略天皇の時代の小子部栖軽(ちいさこべのすがる)という人のお墓があったと言い伝えられているところだった。
小子部栖軽は、雄略天皇の命令で、雷を捕まえたとか、三輪山の神様を天皇の前に連れてきたとか、超人的な働きをする人でありながら、おっちょこちょいな面もあったと伝えられている。
「すがる」
この名を聞くと、私の頭の中には、荻原規子さんの
『空色勾玉』シリーズの
『白鳥異伝』の
「菅流」のことが浮かぶ。
で、今日は朝から
『白鳥異伝』を読んでいる。(笑)
このシリーズで、私の一番のお気に入りの人物なのだ。
菅流も三輪山の蛇神と闘う場面がある。その展開は、勝敗では終わらなくて、誓いが解かれるという、泣かせる場面になる。
私の一番好きな場面は、
菅流が、水に沈んだ村の丘の上で赤ん坊を抱き、小さな子を 脇に添わせて立つ姿。
作中に書かれる
「不思議な光景だった。彼らはまるで、三人でひとつの神聖な像を作っているかのように見えた。」
の文章そのままに、私の中にも、その光景をいつか観たことがあるような不思議な印象が焼き付いている。
降りてくるインスピレーションをつかまえて表現する…
作家の方々。
降りてくるインスピレーションの源を思い出すために
本を読む私たち。
サインは、あちこちにあって、旅をすると、日常のぼやけた触覚から離れるから、いろいろな気づきがあって面白い。
今日は、書きたいことが…旅と関係少なかったね…
(苦笑)