前回報告したHYO社のデュアル・ナローバンドフィルター(ヤフオクで入手可能)のテストですがようやく一日だけ晴れたので撮影してみました。満月に近い明りがぎょしゃ座やふたご座の真横で照らしているため対象を変更し、比較的長時間撮れるカシオペア座のIC1848に変更しました。これもOIIIが出るのでSAOの対象として人気の星雲です。
フィルターは、借用したHYO社のOSC(ワンショットカラー)カメラによる疑似SAO合成に使用するOIII+SII(6nm)・Hα+OIII(6nm)セット、ウルトラナローのHα+OIII(3nm)、手持ちのL-Ultimate(3nm)QBP(クワッドバンド)5種類です。(推測ですが、HYO社のものは既発売のASKAR社カラーマジックのOEM元と思われる)
↓本当にこんなすごいの撮れるのでしょうか?
【撮って出し】
まずはそれぞれ45分露光の撮って出し(スタックしたものをASI Studioでストレッチしただけ)の画像です。ダーク・バイアス・フラットは入れています。小さくて見づらくてすいません。
右上からHα+OIII(3nm)Hα+OIII(6nm)L-Ultimate(3nm)です。今回の結果では6nmが大健闘です。Hαの出方はHYOの3nmが一番明るくて他の二つが同程度です。色ムラはどれも補正処理が必要なレベルですが、L-Ultimateが一番ひどいです。(※個体差かもしれませんので断定はできないです)私は持っていませんが、HYOの6nmは他社の6~7nmデュアルバンドナロー(ZWO・SVBONY・IDAS等)とも比較してみたいですね。
左上がQBP、左下がOIII+SII(6nm)です。やはり満月でのOIIIは薄いですね。かすかにガスが見えます。私の愛用のQBPは問題外でした。いずれも色ムラは出ています。
画像処理後の出来上がりを並べます。Hαが圧倒的に明るいため、混ぜこぜ無理して処理しており、下手な画像ですがご容赦ください。
【SAO合成】まあまあ渋く仕上がっている
【AOO合成】いまいち
【SAO+AOO】
SAO40%、AOO60%加重平均。処理するたびに画質が悪くなりますね。
この辺になると疲れてきたので雑な処理ですいません。
【結論】
・デュアルバンドナロー単体としてはHYOのものは優れている。特に6nmは3nmのL-Ultimateを凌駕している。
・今回露出不足と満月の条件でしたが、OIIIは4画像重ねるのでSIIと同程度の画像は出ます。今日はあまりきれいな画像は得られなかったが、都会でもそれなりにOSCによる疑似SAOカラー合成は楽しめる。モノクロカメラの追加コストは不要だが、画像処理は複雑になり、モノクロと同程度か余計に時間がかかる。(そもそもモノクロの経験の少ない私は1日がかりでした...!?)
・同じHYOのフィルターセットではピントをチェックしなかったが、恒星のピントが甘いように感じる。フィルターの特性かもしくは温度変化かもしれないが、念のため撮影都度のチェックが必要(オートフォーカスならいいけど)
【今後の展開】
・もう少しの期間お借りして、追加露出、他の天体の撮影ならびに郊外での撮影も試みたい。(春はあまり対象がないですが(泣...))
【撮影対象】IC1848(胎児星雲)カシオペア座
【共通スペック】
鏡筒: タカハシ FSQ-85ED(RD)327mm f3.8
赤道儀:タカハシ EM-200(改)
カメラ:ZWO ASI2600MC DUO
ガイド:ASIAIR
撮影日:1/23(月齢12.1)
露出時間:各300sec x 9FR (45分)
撮影地:大阪府吹田市(Bortle class 7)
使用ソフト:
スタックーASI Studio
カブリ補正ーFlatAidPro
レベル補正・RGB分解・合成ーStella Image