地経学研究レポートNo.1
各国防衛産業の比較研究─自律性、選択、そして持続可能性─
(公益財団法人国際文化会館)
著者:尾上定正、小木洋人、井上麟太郎
A 建国当初から1960年代後半にかけて、イスラエルは、フランスなどの友好国に重装備を依存していたが、第三次中東戦争で対仏関係が悪化し、戦略的自律が脅かされてからは、戦闘機や戦車、軍艦などのプラットフォームの開発や製造に注力するようになった。しかし、プラットフォームの開発も全て一国で完結することができず、結局米国などの友好国に影響されている実情は変わらなかったため、1980 年代後半にラヴィ戦闘機開発に失敗すると再び方向転換し、アビオニクス[航空電子工学――ノート作成者]やミサイル等IT 技術を駆使した兵器システムに注力した。そしてこの分野において、他の西側諸国にとって不可欠な存在へと成長することで、相互依存関係を作り上げることに成功し、国防産業の活性化とともに、戦略的自律を確保することができるようになったのである
イスラエルが西側諸国にとって,彼らの国際的な兵器供給もの一角を担う存在として不可欠であることが指摘されている。
B イスラエルが西側諸国にとって不可欠な兵器システム供給国となった背景として、多くの資源や資本を必要とする戦闘機などの大型のプロジェクトではなく、民需でも発展していたデュアルユース技術に開発資源を集中させ、さらにそれを継続的に実施できるイノベーション・エコシステムを構築することに成功したことが挙げられる。
軍事専用技術ではなく,デュアルユースに資源集中したことが成功の秘訣との指摘であるが,これはつまるところ,われわれの生活に軍需産業が浸透していることを意味する。
C イスラエルはまず、人に投資しているため、高度な能力を持つ技術者や研究者が多く、その上、移民大国でもあるため、海外から優秀な人材が流入してくる土壌を持っている。加えて、優秀な人材を徴兵や軍のプログラムへの誘致を通じて軍の研究開発力やサイバー戦能力などを強化することに成功している。徴兵を通じて任務で重責を担い、軍の最新技術を習得し、幅広い人脈を構築することに成功した若者が再び民間人として社会に戻ったとき、彼らがイノベーションを起こす基盤も整備している。
兵役経験者が死の商人として活躍するようになることを羨ましがっている。
D 国防産業政策として、アビオニクスやロケット技術、医療技術などデュアルユースの色が濃い技術に投資しているため、軍民両方の活性化に成功している。
Bと同趣旨。
E 本稿では、イスラエルの国防産業史を概観することで、そこからイスラエルの国防産業を支えるイノベーション・エコシステムの特徴を抽出し、日本の防衛産業の強化・発展に向けて提言する。
兵器産業をどこまでも肥大化させるという目的が立てられている。
