✖労働時間規制外す 効率的な働き方の一歩に 対象拡大など課題 | 草莽崛起~阿蘇地☆曳人(あそち☆えいと)のブログ

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▼「年収と職種の条件は法案成立後に省令で定める」とする全労働者に対する残業代ゼロ・過労死法案だ。日経新聞は「制度を意味あるものにするには、高年収で専門職の人だけではなく、対象を広げる取り組みが欠かせない」などと、その狙いを隠そうともしていない。さらに、これ自体が年末の政労使会議での合意事項に含まれ、連合の協力でほとんど何の反対もないまま、進められようとしている。階級的労働運動が歴史の前面に躍り出るときだ。
 
 

年収1075万円以上の専門職対象 労働時間規制外す 厚労省案、過労防止を条件に

2015/1/8 2:02 日経新聞
 
イメージ 厚生労働省は7日、働く時間ではなく成果で賃金を払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」の制度案をまとめた。対象は年収1075万円以上の専門職に限り、週40時間を基本とする労働時間規制から外す。過労を防ぐために年104日の休日なども導入の条件にする。「岩盤」といわれる雇用規制を崩す第一歩となる。
 
 ホワイトカラー・エグゼンプション導入は柔軟で効率的な働き方を促す狙いがある。安倍政権は2007年の第1次内閣当イメージ時に実現を目指しながら挫折した経緯があった。厚労省は働く時間を弾力的に決められる裁量労働制やフレックスタイム制も併せて拡充する。
 同省は16日に開く労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会にこれらの労働時間規制の改革案を示す。今後、与党との調整を経て労働基準法改正案を閣議決定し、26日召集の通常国会での成立と16年春めどの施行を目指す。
 政府は昨年6月の成長戦略でホワイトカラー・エグゼンプションの導入を決めた。この時点では対象を「少なくとも年収1000万円以上の専門職」と想定していた。
 「1075万円」という年収要件は当初案より対象が狭く、課長級技術職の民間給与で上位25%の水準にあたる。有期雇用の制度は年収1075万円以上の専門職の規制を緩めており、この水準に合わせた。残業代や手当はないが、成果が同じなら賃金の総額は変わらないようにする。
 職種は金融ディーラーやアナリスト、医薬品の開発者、システムエンジニアなどを想定。年収と職種の条件は労政審の分科会で議論して、法案成立後に省令で定める。
 国税庁の調査では年収1000万円以上の労働者は約180万人いる。多くは労働時間規制から外れた管理職だ。
 厚労省が07年に導入を目指した案では年収900万円以上の管理職手前の社員を対象と想定し、約20万人に適用すると試算していた。今回は年収基準が上がるうえ、職種も絞り込むため20万人を下回る見込みだ。
 ホワイトカラー・エグゼンプションの導入には本人の同意とともに働き過ぎを防ぐ策の実施が必要となる。労使が(1)104日の休日取得(2)1カ月間の在社時間などの上限(3)就業から翌日の始業までに一定時間の休息――のいずれかを選ぶ。在社時間などが一定基準を超えた社員には、医師の面接を義務付ける。
 

効率的な働き方の一歩に 対象拡大など課題

 
 政府が労働時間規制を緩和するのは、効率的な働き方の一歩につなげたいからだ。少子高齢化で労働力人口が減るなか、生産性を高める政策面の後押しは欠かせないと判断した。岩盤規制の1つに風穴があくが、対象の拡大など残された課題も多い。
 安倍晋三首相は労働時間規制の緩和に強い思い入れをもって取り組んできた。2006年から07年の第1次内閣でも法改正の案を準備したが「残業代ゼロ法案」との批判を受け、07年の通常国会直前に法案提出を断念した経緯があるためだ。
 いつまでも働いた時間で賃金を決めていたら、ダラダラ残業する人が多い日本特有の働き方は変えられない。事務職の仕事は、働いた時間ではなく、アイデア勝負になっている。短時間で成果を上げた人を評価する仕組みを設けるのは、働き方が多様化する時代の要請にも合う。
 厚労省案は過重労働を防ぐ対策を盛り込んだ。一定の休み時間を取ることを強制するなど、健康対策に目配りした。働く人が成果を求めるあまり、長時間労働が定着してしまうようでは、規制を緩和する意味がない。
 課題が残っているのも事実だ。政府は「残業代ゼロ」との批判を気にしてか、対象者をかなり絞り込んだ。07年時は年収900万円以上の課長補佐級が対象者だったのに、今回は年収1075万円以上と高く、金融ディーラーや研究職など職種を限定した。
 制度を意味あるものとするには、高年収で専門職の人だけではなく、対象を広げる取り組みが欠かせない。
 
 

ホワイトカラー・エグゼンプションとは

 
▼ホワイトカラー・エグゼンプション 事務職など「ホワイトカラー(白いシャツの襟の意)」の労働者を対象に、週40時間といった労働時間の規制を除外(エグゼンプション)する制度。給与は働く時間の長さではなく成果に応じて払う。成果さえあげられれば好きな時間に好きなだけ働けばいい半面、過重労働への懸念などから労働組合からの反発がある。
 
 

労働時間規制 1日8時間・週40時間が原則

 
▽…日本は働く時間の上限を原則1日8時間、週40時間と法律で決めている。企業はこれを超えて働いた社員に残業代を払い、長く働くほど賃金が増える。もともとは働く時間と成果が比例しやすい工場労働者を想定した規制だった。今は企画や開発など時間ではなくアイデアで勝負する仕事も多い。残業するほど賃金が増える規制は時代にそぐわないとして、段階的に見直しが進んでいる。
▽…今回の厚生労働省の改革案は高年収の専門職の労働時間規制を外す。残業代や夜間・休日手当はなくなるが、基本給を上乗せして、同じ成果を出せば今までと同じ賃金をもらえるようにする。働く時間を自由に決める裁量労働制は、システム会社や金融機関で顧客の要望に応じて商品を提案する営業職と、会社全体の品質管理の担当者も新たに対象に加える。
▽…出社と退社の時間をずらせる「フレックスタイム制」も広げる。これまでは1カ月の範囲内で働く時間の帳尻を合わせる必要があったが、これを3カ月に延ばす。忙しいときはたくさん働いて、育児や介護など家庭が忙しいときは働く時間を短くできる。
 
 
 
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