市場抜きの諸アソシエーション-その4-(ノイラートのハイエクへの応答) | 草莽崛起~阿蘇地☆曳人(あそち☆えいと)のブログ

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自虐史観を乗り越えて、「日本」のソ連化を阻止しよう!

Economy and Society Volume 32 Number 2 May 2003: 184-206
Socialism, associations and
the market
John O'Neill


 
ノイラートの最初の、そして最も直接的な社会化プログラムへの取り組みは、第1次大戦前の革命的高揚期の間のバイエルンの社会化担当大臣としての仕事である。ノイラートの総合的社会化プランは、ある種の非貨幣的計画経済への急速な移行の推進を含んでいたという意味で、ラディカルなものであった。実際、彼のバイエルン計画では、この意味での社会化は、私的所有の廃止を優先するものだったのである(1920a:section2)そのプランの特徴は、集中表示式の計画立案法の範囲内で非資本主義的組織がとることのできる形態の多元主義への傾倒に見られる
 
ここで論じられる社会化プログラムは、社会主義、連帯主義、共産主義を同時に実現しようという試みである。それは、貧農や職工のための協同組合、共産主義に基づく集団的開拓、そして農業、工業における社会主義的な大規模生産に対して、それぞれの方法で共同経済を実現したいという彼らそれぞれの希望を公平に取り扱うために、彼らの共存の道を提供するものである。単純な多数決は、複数の非資本主義的経済形態を同時的に支持することのできる経済的寛容に道を譲るだろう。(Neurath 1920b)
 
ここでの「共産主義」と「社会主義」の語は、テンニースのゲマインシャフトとゲゼルシャフトの区別に関連付けられる、ノイラートに固有で独特の意味を持っている。共産主義は、ゲマインシャフトという環境の中での社会化に関連している。ゲマインシャフトにおいては、人々の関係は、個人の習慣と社会的な習俗によって構成されている。――ノイラートの社会化プランの特徴は、それが習慣的なものや習俗的なものを排除していない度合いにおいて見出されるのである。社会主義は、ゲゼルシャフトというよりフォーマルな環境の中での社会化に関連している。連帯主義は、様々な協同組合運動に関連している。このような制度的多元主義の中心を占めるものは、生産者のアソシエーションの役割である。ノイラートが計画機関や集中管理に関わる間に意図していたのは、下部のアソシエーションに如何に自律性を残すかということだった。
 
それが可能な限りはいずれにおいても、講ずべき措置の実現は、非官僚的な自主管理アソシエーションに委ねられるべきだろう。これらのアソシエーションは、経済計画の決定過程において協議に加わるべきであり、投票権を持つべきである。それらは種類を異にするものであってよい。職工貧農は、諸協同組合に組織化されるかもしれない。それらの組合は、原料と追加的投入に責任を負い、最終生産物がすべての人に利用可能となることを保証するだろう。…特殊な諸組織は、大規模生産プラントを含む必要がある。…職工の協同組合と工業アソシエーションは、農民協同組合と農業アソシエーションのように、原材料から最終生産物までの生産を制御する全国的なアソシエーションとして連合するだろう。例えば、建設業のための全国的アソシエーションは、建築資材の生産、建設用地の管理、実際の建設業から構成されるだろう。(Neurath 1920b) 
[強調は、オニールの引用にあるもの、オニール自身は特に断っていないので、一応ノイラート自身による強調であると判断する。疑義のある方は、ご自身でノイラートの原文を確認されたい。強調は、翻訳者(阿蘇地)によって新たに付加されたもの。
 
ノイラートは、これらの生産者アソシエーションと並んで、あらゆる組織の中での労働者評議会の役割を認めていた。ノイラートにとってそれは極めて重要で、工場労働者ばかりでなく、家事労働に従事していたり、就労不可能な事情にあったりする女性たちをも代表するものであった。