(承前 ハイエクとノイラート)市場のない諸アソシエーション その3 | 草莽崛起~阿蘇地☆曳人(あそち☆えいと)のブログ

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自虐史観を乗り越えて、「日本」のソ連化を阻止しよう!

 
Economy and Society Volume 32 Number 2 May 2003: 184-206
Socialism, associations and
the market
John O'Neill


 
多元主義の制度的・文化的重要性は、ノイラートのアソシエーション主義擁護論の核心的な要素である。
 
慎重に考案された経済的な計画の枠組みにおいては、種々の経済形態が互いに競争することを強制されずに共存することが可能である:種々の経済形態とは、手工業者の協同組合、協同労働を伴う特殊な入植事業、産業組合などである。このようにして多分市場経済の不寛容は克服されるだろう。この不寛容は、「自由放任」と資本主義的利得の拡大欲求に抵抗したものすべてを破壊した。マンチェスター流の自由主義は、…コミュニティとギルドの運動を、軽蔑をもって扱ったのである。(Neurath 1920a)
 
市場の文化的画一性についての指摘は、多くの社会主義モデルにおいて見出される多様性の欠如に対する批判においても繰り返されている。
 
中国、インド、アフリカ中部が本当に1つの同じ社会主義になるべきだろうか?様々な生活秩序についての比較研究が我々に教えるところでは、文明諸国における経済の組織化の傾向は、自由市場社会を憎むべきものにした同一パターンに従っていたことが分かる。もし社会主義が解放をもたらしたなら、それは寛容によって結び付けられなくてはならない、それは文明の相違を公正に扱い、そしてそれぞれの方法で経済計画と経済行政の中にそれぞれを適合さなくてはならない。(Neurath 1920a)
 
ノイラートは経済の調和が意志決定の非集権化と結びつくべき、市場なきアソシエーション社会主義を擁護する。
 
経済的な計画は経済の調和を要求する。 これは、多くの社会民主党員が望むような、すべての意志決定が集中させられることを意味しない。 中心的な組織が、種々の経済的なグループによる独立した決定が一般的な計画の中に適合することを保証するだけで十分である。(Neurath 1920b: section 11)
 
こうした立場も、もちろん、固有の困難を抱えてはいる。非市場の環境の中で、調整の問題はどのように力の大規模な、そして過度の集中化なしで克服できるだろうか?自己管理と活動の調整を結合すること、そして制度上の多様性を実現することという問題は、社会的な活動へのノイラートの実際的な関与でたびたび取り上げられた事柄であった。ノイラートは多くの社会的な実験に関係していた。
 
しかし、ここで特に関連を持っているのは、つぎの3つである。 第1次大戦後のババリアの社会化計画、同じく第1次大戦後のウィーンの住宅の運動、そして1930年代の統一科学運動である。それぞれがノイラートの非市場型アソシエーション社会主義のモデルに関連を持っている。もし、ノイラートの思想に、脱集権化を進めるような発展があったとすれば、それは、歴史的経験の上にも反映されていくことになるだろう。