「口は禍の元」ということわざがあります。思い返すと、私の人生も発言によって損をしたり、人間関係をこじらせたりした経験が少なくありません。
言いたいことをはっきり言うことは、自分にとってはストレスがたまらない一方で、周囲には負担を与えてしまう――そんな場面が繰り返しありました。
子どものころ、「ひとりっこだからねえ」と言われることがよくありました。そこに込められたニュアンスは「わがままで、配慮に欠ける」というものでしょう。
大人になってからも善意から発した言葉が、かえって波紋を呼ぶことも多く、「正論が必ずしも歓迎されない」という現実を痛感してきました。
日本の会議の風景を見ても、積極的な発言は少なく、結局は上席の意見に流れるケースが多いものです。沈黙や同調を美徳とする文化は根強く、結果として「空気を読む」ことが生きる術になってしまうのでしょう。
しかし最近、20代の若者が空気を読まずにはっきり物を言う姿を目にすると、むしろ頼もしさを感じます。多少的を外していようが、自由に意見を口にできることのほうが、黙り込む社会よりは何倍も健全です。組織も、偏った意見ばかりでは停滞します。多様な声があることで、はじめて活性化していくのではないでしょうか。
「長いものには巻かれろ」「朱に交われば赤くなる」といったことわざも確かに的を射ています。しかし、変革や改革を進めるうえでは、時にそれが大きな足かせになるのかもしれません。
これからの日本を動かすのは、空気に縛られず意見を言える人たちであってほしい――そんな願いを込めて、日本の未来に思いを馳せています。
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