某女物語5 | 遊人 World

遊人 World

この世界の物語はフィクション!! 気分で? 音楽・魚・植物等
(トラブル防止の為、二次使用禁止)

「ハツお姉様、おはようございます」

 

五条家の薬医門(やくいもん)前で待つ、ハツ姉様に挨拶をする。ちなみに、薬医門とは武家屋敷の門を想像すると わかりやすい。

 

「フチ、いつまで待たせるんですか? 早くしなさい!! それとも1日か、2日ほど食事を抜きにすれば、わかるのでしょうか?」

 

姉様、あまり早く行っても迷惑では? 第5皇子は逃げませんよ!!

 

だが、ここまで気合が入っているとは・・・食事抜き1回でも耐えられないのに、1日以上なんて失敗は出来ませんね。

 

「フチ、はやく乗りなさい!!」

 

ハツ姉様に急かされて馬車に乗る。

 

あれ? 馬車? 牛車じゃないの? もう歴史の事は考えないようにしよう。

 

「フチ・・・という事でお願いしますね」

 

馬車の中で、ハツ姉様に念を押される。

 

「ハツお姉様、わかりました」

 

簡単に言うと、第5皇子に謝罪をした後で適当に抜けて歩いて帰れという事だ。馬車に乗せてあげるだけでも感謝しろ!! らしい。まだ、姉妹関係がわからないから大人しくしておこう。

 

「では、降りますよ」

 

ハツ姉様に言われ降りると、目の前には大きな八脚門があった。本来、仁王像がある位置に兵士達が数人立っている。

 

さすが皇子様の屋敷だよね。

 

「殿下、先日は記憶が混乱していたとはいえ、失礼な言動を申し訳ありませんでした」

 

使用人に案内されて茶室に入り、第5皇子に謝罪をしている。

 

「私の方こそ、怪我をさせたのだ。すまなかった」

 

「殿下、愚妹の事は気になさらなくても・・・」

 

「フチ、記憶の方は、どうなのですか?」

 

第5皇子・・・今、ハツ姉様をスルーしたよね?

 

「頭を打った衝撃で、一部の記憶が消えてしまったようです」

 

姉様の視線が痛いが、ちゃんと答える。

 

「それは、また大変だな。お詫びとして何か困った時には私が助けるから、いつでも来なさい」

 

第5皇子・・・イケメン過ぎる。

 

「殿下、悪いのは馬車の前に飛び出した愚妹で・・・」

 

「ハツ!! 知らない子供を助ける為、馬車の前に飛び出すなんて素晴らしい事ですよ。簡単に、できる事ではありません!!」

 

第5皇子・・・そこはスルーしないのですか?

 

「殿下、散歩に行きませんか?」

 

姉様の視線が痛かったので、少し強引だが散歩に誘う。

 

「そうだね。ハツ、庭を歩こうか?」

 

空気を読んだ第5皇子が言った。

 

「喜んでお供します!!」

 

ハツ姉様が嬉しそうに答える。

 

第5皇子邸の庭を散歩する事になった。あとは、上手く抜け出せば食事抜きは無くなるはずだ。

 

 

つづく