某女物語4 | 遊人 World

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「ハツお姉様、フチです」

 

ハツ姉様の部屋に着くと、部屋の中に通された。

 

「フチ、先程の第5皇子に対する態度は なんです!! 妾腹とはいえ、五条家の娘として恥ずかしくない行動をしなさいと、いつも言っていますよね? そこに手を出しなさい!!」

 

手を出すと、細長い木でペチペチと叩かれた。地味に痛い。

 

「フチ様は記憶を失くしています。急な事だったので仕方が無いと・・・」

 

ナツが私の状況を説明してくれたが・・・

 

「あなたは何を言ってるの? 五条家の娘として、そんな言い訳は通じないのですよ? 側使いは黙ってなさい!!」

 

相手は皇子だ。ハツ姉様の言う通りである。

 

「明日、第5皇子の所へ謝りに行くので ついて来なさい。それと罰として、夜の食事は抜きですよ」

 

夜飯を抜かれたのも地味に痛い。

 

「あーーー お腹すいた!!」

 

自分の部屋に帰ってきた私は空腹に耐えていた。

 

「フチ様、持ってきましたよ」

 

ナツは台盤所(だいばんどころ)から蒸した米の塊(かたまり)を、こっそり持って来てくれた。米の塊は強飯(こわめし)といい、おこわ みたいな物だ。台盤所は略せばわかると思うが、台所みたいな場所だ。

 

「まっずー」

 

味付けされていない強飯は、おいしくない。空腹は無くなったけどね。

 

「食事に おいしさを求めるなんて、また怒られますよ?」

 

ナツが私に言った。

 

そういえば、この時代の食事は味より見た目重視だったな。困ったなぁー 食事については本気で考えないと いけない。

 

「ナツ 教えてもらいたいのですが、女性は あまり家から出る事は駄目だったような・・・あと食事は1日2回でしたよね?」

 

「フチ様、女性が家から出る事が駄目な時代は、一昔前の時代ですね。庶民は1日2回ですが、五条家は貴族ですよ!! 1日3回です」

 

やはり、微妙に歴史が違う。1日3食は平安後期なら ありえるけど、女性が自由に出歩けるなんて、ありえない!! しかも、公家ではなく貴族!?

 

「明日は第5皇子の所へ行くのですよね? 緊張するわー」

 

「第5皇子は、とても いい人で有名な方なので大丈夫ですよ。問題はハツ様が何を考えて行くのかですね」

 

「どういう事?」

 

「前からハツ様は第5皇子を狙っていたんですよ。フチ様を利用して近づきたいと考えていると思いますよ」

 

「それを邪魔すると・・・」

 

「そういう事ですね」

 

なんと!! 優しいイケメン皇子が危険な罠だったとは・・・空腹も消えたし、明日の事を考えて早く眠る事にした。

 

 

つづく