「なにこれー」
袋にイロイロな物を入れようと思って考えていると、たまごが帰ってきた。紙を初めて見て不思議がっている。
「私は料理を作ってきます」
あまいは夕飯を作りに行った。
「これはなぁ、この墨で・・・えいっ」
最近、毛が薄くなった たまごの顔に墨で丸を書いてやった。
「なにしたの?」
たまごは、何をされたか わかっていない。
「何もしてないよ。これは紙と言って文字や絵を書く物だよ」
そう言って、紙に墨で 犬の絵と たまごと文字を書いてやる。
「ん? これ・・・私? 似てるような・・・似てないような・・・」
絵が気になって、自分の顔には気づいていない。
「かして 自分で足らない部分を書くよ」
たまごに紙と筆を渡したら、たくさん書いていた。魔法で大量に作ったのでいいが・・・絵と言うよりも落書きだった。
このまま、たまごを魔法の袋で捕獲しようかと冗談ぽく思っていた時に気がついた。魔法の袋の口が広がらないと大きな物は入らないと・・・
急遽、魔法で口を広がるようにして、落書きに夢中になっている たまごを放置して、地下室の酢等を貯蔵してある大きな壺が入るか試して囲炉裏の部屋に戻ってくると・・・鬼の顔をした たまごがいた。
「まったく、ほんとに!!」
「どうしたの? たまご?」
「これーーー」
たまごは顔に書かれた丸に気が付いたようだ。落書きをしていたので手が真っ黒だし同じだろ・・・と思いながら
「さっき、あまいちゃんにその顔なに?って言われて気がついたの。ご主人様、悪戯した上に放置するなんて!!」
袋に夢中で、忘れていた事は確かだ。
「これ、あげるから機嫌を直せよ」
「なにこれーーー かわいいーーー」
話を聞きながら、たまごが落書きをした紙で鶴を作って渡してやると顔の事は忘れて夢中になっていた。
「ごはんの準備が出来ま・・・たまごちゃんだけ、ズルーい」
あまいの分も作る事になったのは言うまでもない。
いろいろな物を作ったが、たまごはウサギ型の風船・あまいは魚型の風船が気に入っているようだ。二人とも、それは食べ物ではありませんよ・・・と思いながら飯を食べる事にした。
「袋は完成したの?」
あまいが言った。
「おう、出来たぞ。たぶん完璧だな」
「わたしも袋作ってほしいなー」
たまごが言った。
「作ってもいいけど、何に使うの?」
「たからものを、いっぱーい いれるんだー」
「じゃあ、そのうちな」
ウサギ肉だらけに、なるんじゃね?と思っていたら
「当然、私の分もね」
あまいが言った。まあ、そのうち作るとしよう。
夕食を終え風呂から出てきた二人の毛並みを 最近、抜け毛が多くなってきたが・・・春が近いからだなと思いながら整えて眠る事にした。
つづく