先日、日本橋へ出かけた。
健康診断で腎臓の数値が悪かったので、再度の要診査というわけで
専門内科を探しての日本橋だ。
再審査の結果は~ 現状は問題ないということでホッとしたところ。
その後に日本橋を散策。
近代的な高層ビルが空に伸びる一方で、風格ある石造りの建物がどっしりと構えている。
この新旧が溶け合う街並みに、私はいつも心惹かれる。
もし浅草が「江戸の賑わい」を今に伝える場所なら、
日本橋は「気品のある江戸」が息づく場所ではないだろうか。
最初に立ち寄ったのは、日本橋の本屋さんの丸善。
八重洲にはもうないのだろうか~昔は、よくいったものだ。
その静かなフロアの奥に「ピカソのギャラリー」と書かれた一角を見つけ、
吸い寄せられるように足を止めた。
中にはピカソの作品をはじめ、マチスなど著名なアーティストの絵が並び、まるで小さな美術館のよう。
絵の前に立つと、作家の息づかいまでが筆の勢いを通して伝わってくるようだった。
どれも素晴らしかったが、値札を見て思わず顔を見合わせてしまう。
あたりまえだが高価。
同じ建物の中にあるカフェでひと休みすることにした。
深煎りのコーヒーと、奥さんは選んだ美しいモンブランがテーブルに運ばれてくる。
芳醇なコーヒーの香りが店内に満ち、窓の外には午後の光がゆるやかに差し込んでいた。
こうして静かに本屋のカフェで過ごす時間、いいものだ。
金彩の施されたカップをそっと手にした。
言葉は少なくとも、心は不思議と満たされていく。そんな豊かな時間だった。
テーブルにはフランスの気品のあるボールペンとメモ用紙があったので
サインを~

歴史が薫る、高島屋 だった。
次に私たちは高島屋へと向かった。 赤煉瓦色の旗がはためく洋風建築は、まるでヨーロッパの歴史的な建物のよう。入口の脇には、長い年月を経て緑青をまとった「髙島屋」の看板が掲げられ、その歴史の深さを静かに物語っていた。
ゴシック建築というのだろうか。
太い大理石の柱が天井までそびえ、柔らかな照明が床に光の粒を映し出す。その荘厳で上品な空間は、まるで生きた博物館のよう。ただ歩くだけで、自然と背筋が伸びるような気がした。
夕方になってきたので地下のレストランで早めの食事をとり、外に出ると、もう夜の気配が街を優しく包み始めていた。
日本橋の橋の上まで来ると、街灯に照らされた麒麟の像が目に飛び込んできた。
高速道路の下という現代的な風景の中に佇むその姿は、雄々しく、堂々としていて、まるでこの街のすべてを見守ってきたかのようだ。
橙色の灯りに浮かび上がる翼とたてがみの陰影があまりに美しく、私たちはしばらく言葉もなく見上げていた。

夜風がそっと頬をなでていく。橋の上を人々が思い思いに行き交い、
下を走る車のライトが光の川となって流れていった。
派手なことは何もなかったけれど、いろんなところがあるなあと感じた半日だった。








