ルバンのスマートで粋なところが好きだったから。
そんなルパンに愛される女は、きっといい女に違いないと。
私の子供時代は、ちょっと冷静で計算高くて生意気だったと思う。
大人が一番扱いにくい子供だったんじゃないかなぁーと。
大人の吐く適当な嘘や、見栄や、ご立派な説教を多分、バカにしてた。
そして感心しないことに、それをイチイチ覚えるような感じの悪い子だった。
しかし、冷静で要領の良い私は平和主義者。
誰にも反抗せず、優秀に見せかけ、言葉には細心の注意を払ってきた。
心の中ではバカにしていても、にっこり微笑む私。
要は、ムカついても相手にするのが面倒でバカらしかったのだ。
私はあんたなんか相手にするほど、同じ位置にはいないと。
そんな私でも、心から激怒してぶっ飛ばしそうになったことがある。
ある接客業で働いていたときのこと。
新人の私に、主任はクリスマスプレゼントをくれた。息子の分も。
あーなんてフレンドリーな人なんだと、感謝したものだった。
主任に愛の告白をされるまでは。
私が彼を振った後、彼からの容赦ない意地悪とシカトを私は笑って流した。
職場の評判が心底最悪な主任に、数ヶ月も我慢したある日。
朝から、いきなり怒鳴られながら呼び出された。
毎度のことだ。なに?と聞き返した私に主任は怒鳴った。
『なに、じゃないだろ!!俺は、お前より偉いんだッ』
・・・・・。私の頭の中で、本当にプッツンっと何かがキレた。
『ふざけんな!!何がエライだと?
本当に偉いんだったらなぁ、下の者が挨拶したときぐらい返せよ!!
社会人の最低限のマナーを守れない奴が、中途半端な権力振りかざして
威張ってんじゃねーよ!!バカじゃねぇの?
誰もあんたなんか尊敬してないし、エライとも思ってないんだよ!!
挨拶が出来るようになってから出直してきなッ!!』
主任は目をひんむいて、すごすごと事務所に戻った。
それから、私と主任の話は真しやかに囁かれ、伝説となった。
後にも先にも、最初で最後の暴走だった。
くだらない喧嘩はイカン。
しかし、時には相手の鼻をへし折らなきゃイカン。
職場でなかったら、鼻パンを御見舞いしてやるとこだったぜ!!
