ろくじょうのおとしあな -162ページ目

旅がらす



所有するというふしぎ。



ふしぎ。





やっぱりいつまでも現実感がない。



夏は終わってしまうもの。







何もかもが鮮やかに流れていっても、どうか。






不自由を愛すのだ。





いやだいやだいやだ



眠たいのも

虫がちょろちょろと飛ぶのも

部屋がほこりだらけなのも

キーボードが言うことをきかないのも

私の耳の悪いのも

不必要に身体が肉ばかりつけてゆくことも

洗濯機が騒々しく回るのも

冷蔵庫の中に食べるものが何もないのも

電波が弱いのも

すぐに倒れてしまいそうになるのも




なんかもう全部いやだ

断片  音のしない 或いは遠いということ。

下降下降


どこまでも



それは穏やかで静かな。




どうってこともなく

うーんそうね、どこかへ行きたい。或いは何かをしたい。何か変わってしまえばよい


そう思うこと

思って何かをしようとすること

突破口を開こうと叫ぶこと

叫ぶことを諦めて静かに歌うこと




泣くこと




音の無い景色

ずっと眺めていた

なぜかしらすべては、

世界は、

スローモーションなのです

無花果のつぶれるのとか

その色とか

鮮やかな

あのひととあのひととあのひとと。






言葉にすること


それはうなわち救いであると、信じ込むこと






愛ってなんだ



月がきれいきれい

ゆらゆらと

ゆらめいているよ

ほら見て見て私の指先

ここから見ていれば

月は二つにも四つにも八つにも分裂して

どんどんどんどん

光の粒になってゆくんだよ









海の近くに

呼ぶ声がする

甘ったるい風と共に

何か音が聞こえる

私はとても背筋を伸ばして

何にも振り向かない

何にも騒がされない

瞬間を追い回す

あのころの私

見つめる

見つける

開く










酔う


欲する


強く強く強く




実像でなければ

触覚がなければ

体温を持たなければ

意味なんてない

私は概念で抽象論であなたを愛しているわけではない。







冷蔵庫に

賞味期限を過ぎた色々がまだ冷えていて

処分できないでいるのはものぐさ故でしかない。

捨てることすら面倒なのだ

それはまさに、安吾の書いたように









たとえば無数のひまわりに囲まれて

私はその中にまぎれて見つけ出してもらえない

誰もいない声もしない日も昇らない

ひまわりは高く高く高く伸びていって

終いに私はその中で窒息

音の無い世界で

私はしずかに。ただただただただ、静かに。