





日本に帰国した私は
忙しい中時間を割いてプラハまで来てくれた
という事に対してどうしても
お礼を伝えたかった。
でも、連絡先が分からない。
そこで、ディーンさんが勤める
病院の問い合わせフォームから
(もちろん詳細は隠して)
感謝の言葉だけを伝える事にした。
しかし、勤務先の問い合わせフォームなので
誰が見るか分からない。
というか多くの場合、
事務の方がまずチェックして
内容・必要に応じて
院長・副院長に共有するものだろう。
となると余計な事は言えない。
考えた結果
以下のメッセージを送ることにした。
鈴木先生
先日は本当にありがとうございました。
約20年ぶりの旅行で、
満足に睡眠も取れずに
旅先で体調を崩しておりましたが、
先生のお陰で残りの日程も
無事、楽しむ事ができました。
先生に会えてとても幸運でした。
本当にありがとうございます。
山田マリコ
旅先で出会った患者と医師を装った
上記のコメントを送ったところ
ディーンからは以下の返信がありました。
山田マリコ様
ご丁寧にメッセージありがとうございます。
○○医院 副院長の鈴木です。
とんでもございません。
医師として当然のことをしたまでです。
旅を楽しめた様で何よりです。
暑い日も続きますが
どうかお身体ご自愛ください。
また体調の不調を感じましたら、
いつでも当院を受診ください。
山田様と山田様のご家族が
健やかでありますことを
心よりお祈りしております。
副院長 鈴木
プライベートの連絡先はお互い知らないし
患者として病院を訪ねるつもりもないので
私とディーンの長かった物語も
これでおしまい。
決してハッピーエンドではなかったけれど
出会わなければ良かったと
思ったことは一度もない。
何度生まれ変わっても私は
きっとまたディーンに恋をするだろう。
The end.....


