トランプさんが撃たれた。
この秋に行われるアメリカ大統領選の共和党有力候補で、元職として帰り咲きを狙い、正式な選挙戦ではないが民主党の現職大統領バイデンさんと激しく争い、今回、狙撃されたのもペンシルベニア州バトラーで事前運動といっていい集会に支持者を集めて演説中だった。
今のところ、撃ったのは20歳の若者、百数十メートル離れた建物の屋根の上から狙い打ったもので弾は複数発、そのうちの一発がトランプさんの右耳上部を貫通、複数発のうちの数発が近くにいた集会参加者に当たり一人は死亡、二人は重傷を負った。
狙撃犯の名前も判明し、その場で警護隊に射殺された。銃撃の理由や背景は不明だが、共和党党員だが民主党に寄付実績がある、判明しているのはその程度しかない。
それにしても、野蛮で恐ろしい。あと数センチズレていたら……。かつてケネディさんが、レーガンさんが、そして今度はトランプさんが標的に。
この野蛮な事件に失望するのは、アメリカは世界の自由と民主主義のリーダーとして繁栄し、長くお手本を示してきた国ではなかったのかということ。そのリーダーの国で考えや生活の色合いが異なるから問答無用、力で黙らせよう、封じ込めようというのだから信じられない。
この動きの引き金が、皮肉にも撃たれたトランプさんなのかも。愛国心の強いトランプさんを責めることは出来ない。「アメリカンファースト」もそれはそれなりに正しく、その思想実現のために対立者に厳しく挑むのも責められないけれど、公正な選挙結果を認めず、不都合は“フェイク”、”フェイクニュース”で煽り、人々を誘い込んで言葉で通じなければ議会乱入などを引き起こしていく。
本来なら冷静な「見分ける力」を基本に政治は考え、手続きされるものだが、中には、アジテーションを重ねながら 「(人の)思考を無力化」し同調者を増やしていく原初的な手法を使って政治の世界へ踏み出す人も少なくない。
煽り、煽られる政治の危険性を誰もが自覚しなければならないなと……。