安倍さんが今夏に出すであろう、戦後70年に合わせた「安倍談話」の参考に有識者16名が指名され、集まった「21世紀構想懇談会」が25日、初顔合わせし、安倍さんから5つの論点が提示された。
安倍さんが首相就任の際、談話を出す意向を示しただけで話題になった。というのも戦後50年の連立政権のトップだった村山さんが侵略やお詫びの談話に不満を持ち、安倍さんが新たな談話を出すということは、また中国や韓国、アジアの国々とギスギスした関係に逆戻りすると心配されたわけである。
60年の小泉さんも村山談話を継承した。「安倍さん、改めて談話なんかいいんじゃあないの」と反対する人たちは言っている。
でも、安倍さん、言いたいだろうと思う。一国の首相として頑張っておれば、50年村山さん、60年小泉さんが談話を出したんだから、たまたま70年安部さん、自分も語りたいのはよく分かる。僕は言っていい、「安部談話」を発表してもおかしくないと思う。
ただ、日本の過去に対する認識、世界、とりわけアジアの国々との関係についてどのように理解し、その上で新たな関係を考えているかだけだ。
先の大戦で、日本はアジアに侵略したのではなく、他国から長年の抑圧解放のために戦ったという見方、考え方があることは確か。しかし世界の視点からどう抗弁しても解放のための正義の戦いなんて理解されない。だから、ではない。政治、権力者の言い分は横に置いても、戦車や銃を手に自分たちの暮らしの場へ踏み込んで来て、多くの犠牲を強いられた市井の人たちにとって「日本軍の侵略」以外、理解しようがない。それにいくら正義を口にしようが、経済拡大主義の意図は否定できない。
それを「侵略とおわび」のくだりに、いいわけがましい文言などが付け加えられた安倍談話になれば、未来に向けたどんないい話、構想、貢献の思いも通じないだろう。
さいわい安倍さんは「未来への土台は過去と断絶したものではありえない」「先の大戦への反省、戦後70年の平和国家としての歩み、その上にこれからの80年、90年、100年がある」、そうした認識に立って「日本はどのような国を目指すかについて考えていきたい」と懇話会で述べた。
そういうベースが安倍さんの胸にあるのなら「国際貢献を果たしながら日本の未来」を存分に談話で語っていただきたいものだ。懇話会のメンバーも大いに議論を重ねていただきたい。