7月は、アシナガバチの働き蜂がどんどん生まれ、営巣していたことにやっと気づく季節です。
心優しい方は、殺したくないけれど、どうしようもなく殺虫剤をかけなければなりません。その罪悪感は、私もスズメバチを駆除するたびに、グサッと心に刺さってくるのでよくわかります。
そんな方に、少し朗報があります。殺虫剤で蜂のいなくなった巣をまた家族にすることができるのです!
「そんな魔法のようなことを」と思われそうですが、本当にできます!
巣の中には、母蜂が産み落としたたくさんの命が詰まっています。
繭で蓋をした蛹(さなぎ)たちは、毎日のように羽化して生まれます。幸いなことに、殺虫剤のピレスノイド系殺虫剤は殺虫効果が長持ちしないので、繭の下で眠る蛹には影響ないのです。運良く殺虫剤のかからなかった卵や幼虫たちも、生まれた働き蜂たちが餌をあげて世話を始めます。
そして、母蜂がいないことに気づいたその働き蜂たちは産卵を始めるのです。これを働蜂産卵(どうほうさんらん)と言います。
下の写真は、今年6月に移設した母蜂がなんらかの事故で戻らなくなり、蜂のいなくなった巣を二つまとめて巣箱に設置していた群れです。今ではこんなに生まれて、巣もつなぎ合わせ、仲良く子育てをしています。7月の巣からはもっとたくさんの働き蜂が生まれます。
しかし、産卵した働き蜂は交尾をしていませんから生まれるのはオスだけです。蜂の世界は、受精卵がメスの働き蜂。無精卵が働かないオスになるのです。でも、そのオスが交尾できれば、命を繋ぐことができます。
ということで、誰もいなくなった巣を安全な場所に移動してあげませんか!
その方法は、こんな感じです。
〈駆除〉
夜、暗くなってから殺虫剤をかけます。昼間では外に働きに出ている蜂が戻ってきます。殺虫剤はスズメバチ用の強い薬のタイプではなく、ハエ・蚊用の殺虫剤をお使いください。私は世界最大のオオスズメバチの駆除もハエ・蚊用を使っています。充分死んでくれます。オススメはフマキラーダブルジェットやアースジェットです。勢いよく噴射するので、万一、向かってきた蜂がいても吹き飛ばすことができます。
その際、懐中電灯で照らしながら噴射すると明かりに向かってこられて危険です。照明は点けずにやるか、見えなければ懐中電灯に赤いセロハンを被せて照らすと光に気付かれません。
噴射する時は「ごめんね、ありがとう」と声をかけると蜂たちもすくわれます。
〈割り箸に固定〉
翌朝、巣を確認して蜂が残っているならもう一度殺虫剤をかけます。蜂がいなくなった巣をカッターなどで軸を取らないよう丁寧にはずします。万一、軸が外れたら人工軸を取り付けられます。
割り箸のつながってる太いほうに布ガムテープなどを二重に巻き付けます。
割り箸の細い方もテープを巻き付けます。これでしっかり固定できます。
※写真の巣は昨年の空のものを使っています
〈ひっこし〉
あとは、移動させる場所をさがします。
アシナガバチが人を襲うのは遅くても8月いっぱいです。9月になると刺す働き蜂はほとんどいなくなるので、どんなに蜂がいても安全です。それを考慮の上、ご自宅の人がいかない軒下、敷地内の樹木、農家の畑の小屋、人の入り込まない原野など場所を探します。
場所を決めたら、割り箸を上下2点で固定します。
原野に杭に付けて立ててくるのもいいですね。雨が当たる場所なら、ペットボトルを切って屋根をかけてあげるとさらにいいです。晩秋に回収します。
できれば巣箱に入れてあげたほうが蟻や鳥にやられないで済みますし、人が近づいても滅多に刺してこなくなります。余裕のある方はぜひ作ってみてください。
作り方はこちら
以上、駆除をして罪悪感が残る方はぜひやってみてください。きっと、自然と少し共生できた喜びを感じることができます。
思い切って、殺さないで移住させてみたい方はこちら
ただし、くれぐれも刺されない服装で自己責任でお願いいたします。