「いくら費用がかかってもいいよ」
「大森さんの好きなように直してくれるかな?」って......。
惚れてまうやろーーーーーっ!!
修理をしている私にとって、
これほどの殺し文句はないです。
確実にキュン死する
壁ドンより破壊力あるよ。
しかも、
「こんな靴が直るの?っていう
ひどい靴を持ってきたよ。」
「修理事例にぴったりでしょ?」って...。
お釈迦様のような紳士に合掌。
とはいうのも、こちらの紳士。
私も、私と一緒に修理をしてくれている
職人ゆうこちゃんにとっても、大恩師。
こんなありがたい申し出なら
全身全霊で、ご恩を返すしかありません!
2人で
「今回は、修理の限界に挑もう!」
「私たちができること全部やろう!」
と決めました。
だからね、今回は大手術!
どうぞごらんくださいませ。
まずは
つま先のキズね!
この程度なら、
通常の靴クリームで余裕!
ちゃんと色が入ります。
もし、革がささくれのように
ケバケバしているなら
目の細かいヤスリで綺麗にならして
黒色靴クリームを浸透させて
しっかり磨くを繰り返して完成!
こんなのなんでもない!次!
カカト内側の補修
カカトの内側は、
長く履けば摩擦で切れちゃいます。
しかも、上部は糸がほつれてますね。
こちらも同時に直しちゃいますよー!
穴の空いたカカト内側の上に
新しい革を当てます。
そして、上部縫い跡と同じ部分を
丁寧にミシンで縫っていきます。
今回な、ミシンがけ後に
上にはみ出た新しい革を切断する方法で
修理をしています。
次は、中敷交換!
古い中敷をはがすと
思った以上に靴底が弱っていたので
当たりの良い薄いスポンジを敷き詰め
本革中敷をはりました。
都内でお仕事をされる紳士は
たくさん歩くので、カカトも減っています。
カカトのゴムは、消耗品なので
大きく削れ靴本体が傷つく前に、交換をおすすめします。
修理では、しっかり高さを合わせて
耐久性のあるゴムに交換です。
お忙しいと思いますが
ご自分の身体もちゃんといたわって欲しいなー
最後に雨の日でも安心して
歩いていただけるように
ビブラムのハーフソールを貼って
修理は終了です。
【修理内容】
・つま先のキズ補修
・カカト内側補修
・カカト上部ミシン糸ほつれ補修
・中敷スポンジ補修
・中敷交換
・カカトゴム交換
・ハーフソール
・靴磨き
以上8点
頑張ったのは、職人のゆうこちゃんだけど
恩師のお靴に関われるなんて、
本当に嬉しかったな。
もちろん、今回は恩返しだから
「修理費用は絶対いただきません!」
とお伝えしたら
そんなの全部お見通しのご様子で
ロクシタンのいい匂いのする
アレコレを
私たち2人に
プレゼントしてくださいました
全く、どんだけだ...。プロでしょうか?
その人間力に惚れてしまう
ゆうこちゃんと、ロクシタンの包みを抱えて
「まさか、私たちの理想を形にした幻なんじゃないか?」と
二人で混沌としました(笑)
所詮、ジタバタしても
お釈迦様の手のひらの上ってお話でした。