江戸時代の商人で三井高利という人をご存じでしょうか?
あの三井財閥の創始者ですね。
元々は松阪の金融屋でしたが、後に新しいビジネスモデルで呉服の販売を始めて大成功をおさめます。
さて、その三井高利はどのようなビジネスモデルで成功を収めたのでしょうか。
答えは「仕立て売り」による利便性の追求と廉価販売です。
それ以前は、客は一反単位で布を買って、その布を縫製職人の所に持ち込んで着物にしていました。
そうなると、客は各工程毎に依頼する必要があり、また納期や金額も職人毎に異なり、大変不便なものでした。
それが、三井の越後屋にオーダーすると、店頭で直ぐに仕立てて、お客様は即日着物を手にする事ができました。
また、もっと急ぐ場合に向けて「既製品」の販売も並行しておこなっていました。
御殿に上るような大名や上級武士の服装は無理だったかもしれませんが、一般客のニーズはそれで大体網羅できますよね。
また、似たような仕様で仕立てるので品質も安定してきます。
速い、安い、そして商品の品質は安定している訳ですから、売れないはずはありません。
その商法は大成功し、数年で大店となり、現在では三井財閥を作るに至りました。
僕は、この三井高利の商法の話が大好きで、日本刀でも同じようなビジネスモデルが構築できないか常に考えていました。
三井高利の主力商材の呉服も、日本刀の販売手法も結構似通っています。
一般的には日本刀は白鞘で販売されている事が多いです。
また、安価な日本刀の場合は、錆びていたりする場合もあります。
つまり、日本刀を購入してもそれだけでは終わらずに、研磨に出したり、拵えを作ったりと、刀剣購入後も色々な職人にお願いして、コストや時間をかけていく必要があります。
仮に、刀剣店で外装付きの刀を買ったとしても、キチンと調整されておらずに、鍔や茎はガタガタしていたり、あるいは柄巻きが手垢だらけだったりと、正直、生理的に触りたくないものも多かったと思います。
この工程の煩雑さは、日本刀=難しいのイメージを持たれ、市場が拡大しない一因になっているのだと思います。
・研磨済み、あるいは研磨不要の状態での販売
・新品外装の仕立て上がり
・既製品使用のため安価で安定品質
購入した翌日には、手を加える必要がない完成品された日本刀が自宅に宅急便で届くのです。
これ、いいですよね!!
単純ですが、なかなかのキラーモデルです。
しかし、一朝一夕にできるビジネスモデルではありません。
このビジネスモデルを成立させるには、部材のサプライ網の構築と、研磨の内製化が必用となります。
僕は、このビジネスモデルを成立させるために、数年前の真夏の暑い中、名刺と菓子折りを持って日本中回りました。
そこで、何軒か取引してくれる工房を探し出して、部材のサプライ網を構築していきました。
そして、平行して研磨の勉強を進めて、先日、現代刀職展に入選しました。
これで研売りが可能となります。
数年かかりましたが、三井高利の商法を行うためのパーツが揃ってきました。
日本刀というのは、本来は商品力のあるカテゴリです。
現在では「日本刀は売れない」なんて言われますが、アニメを見ても、ゲームをプレイしても、小説を読んでも、「刀」という武器は必ず登場します。
つまり、日本人のみならず、世界中の人々が誰でも知っているアイテムです。
それほどのアイテムが他にあるでしょうか???
もし、それほど認知度の高いアイテムに商品力が無いとしたら、それは商売の方法が悪いのです。
旧来の刀剣商の、顧客と刀剣商の情報格差を利用した、正直、あまりクリアとは言えない商法が横行し、真っ当な顧客は刀剣市場に近づかなくなってしまいました。
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当店の売りである10万円台の日本刀(大刀)
一般的なサラリーマンが、少し頑張れば買える金額の10万円台で外装新品のキレイな刀が手に入るというのがコンセプトです。
サプライ網を作り、経費率を極限まで落としたからこそ出来る商品ですね。