携帯小説 『海月と龍』
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龍恋~RYUREN

お久しぶりですクローバー

昔、ここで書いていた小説をバージョンアップさせたような物を、このサイトで再び書いています。

良かったらご覧くださいニコニコ

Eエブリスタ

クリエーターネーム:Ashville

作品名:龍恋(RYUREN)

http://estar.jp/.pc/_novel_view?w=15258651

天女の唇(終)




波音がビールケースに腰を降ろした。






さっきの僕と同じように街のネオンを眺めている。






「呼ばなかったのか」





「うん。楓も?」






僕は頷くとベランダの柵に寄り掛かった。






パーティーの前。






波音に母親を呼べたら呼ぶ様に言ってあった。






僕も父親に対して、波音から同じように言われていた。






「大丈夫だよね」






波音が後ろからそっと僕の首に腕を回してきた。






僕はもう一度、深く頷いた。






焦る事はない。






氷は確実に溶け始めているのだから。






「これからやっていけるかな」






「大丈夫」





僕はくるりと回った。




波音の頬を両手で包んだ。






「もう波音はクラゲなんかじゃない」






「えっ?」






僕は波音をそっと抱きしめると言った。





「波音は俺を幸せへと導いてくれた。流されてるだけの奴に人は導けない。波音はやっぱり天女だよ」






「……ありがとう。楓も、五頭龍以上だったよ。私を守るだけじゃなく、私に自信をくれた」






波音の潤んだ瞳から滴った一筋の涙が、彼女の唇を濡らした。






「ずっと二人で毎日を生きていこう」






僕はその涙に口づけをした。






天女の唇は冷たくて塩辛かった。






僕は波音の冷えた唇が暖まるまで、ずっとそうしてようと思った。


(終わり)

Let forever be




「ああ、今日はサンキューな」






そう、そんな時こいつら古い仲間に会うと確認できる。






『俺は確かにあの時を過ごしていたんだ』と。






「何しおらしい事言ってんだ。ビールで良いか?」






健一の差し出したステラの缶を受け取る。






「ああ、ついに楓も結婚か。まあ、お前と波音ちゃんは元々夫婦みてえだったからな」






「そうそう残るは俺だけ、って奴だ」






「竜二!」






いつの間にか竜二がベランダの隅で煙草を吹かしていた。






後頭部には、まだ若干、紙吹雪が残っている。





「まあ、これからも俺ら仲良くしてこうや」





そう言って竜二が相変わらずの流し目を決めると、入口のドアが開いた。






「あんた達、こんなトコで何してんの?中、入りなよ。あんたら意外と良い年なんだから風邪引いたら長いよ」





ワインレッドのドレスを着た波音が早口で怒鳴った。






「相変わらずキツイな波音ちゃん。じゃ、俺らお先に入ってるわ」





竜二の肩を叩くと健一は店内に戻って行った。






「お幸せに」






竜二も流し目のままドアの向こうへ消えていった。
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