病院に着いて受付を済ませ、案内された扉を開けると、
出産間近の妊婦さんがお腹をかばう前かがみの姿勢で立っていた。
目が合い、軽く会釈をして、その妊婦さんは痛そうなお腹をかばいながら、ゆっくりと歩いて行った。
待機室に入ると、着替えを済ませてベッドに横になった。
赤ちゃんの心音などを測り、先生が状況を確認に来た。
破水には2種類あって、「前期破水」と「後期破水」があり、結衣は「後期破水」だった。
自然に陣痛が来なければ、促進剤をつかわないと感染症のリスクなどがあるため、様子を見て促進剤投与となる説明を受けた。
結衣は、子宮筋腫もあったため、無痛分娩を希望していたので、その処置が始まった。
説明を受け、腰骨に麻酔液を入れていく、その注射は痛かったけれど、これで陣痛が軽減されるならよいと思った。
麻酔を1本打ち、しばらく待って、次の麻酔投与まで待っていると、赤ちゃんの様子が変わっていき、先生が促進剤を打ちます。とすぐに促進剤の投与となり、出産となった。
麻酔を1本しか打てなかったので、出産時の陣痛はなくならなかった。
利人は、店の鍵を持ってきてしまっていたので、一度店に戻り、藤木と午前の営業をしていた。
結衣が、もう産まれるよ!と連絡すると、利人はすぐに病院に向かった。
分娩室に入り、すぐに出産が始まった。
途中、利人から着信が来ていると看護師さんからスマホを渡されたが、結衣はそれどころではなかった。
自然分娩のような意識がもうろうとする痛みではなかったため、意識がはっきりありながらの陣痛で痛みは辛かった。
陣痛の痛みでうまくいきめない結衣。
何度も陣痛の波がきても、結衣が十分な力を入れられないので、赤ちゃんが出てこない。
助産師さんに「ほら下腹に力を入れて」と言われるも、「痛くて、力が入らない」と結衣。
結衣は、助産師さんと看護師さんに「あと何回ですか?」と聞いた。
「それは、星川さん次第よ。ほら下腹に力を入れて。」と言われるも、うまく力が入らない。
でも、ここで力を入れないといつまでもこの状態が続くんだ。と思った結衣は、頑張った!
それから、2~3回の陣痛で、やっと赤ちゃんの頭が出て、体までスルンと出た。
利人が到着しないまま、赤ちゃんが生まれた。