阿修羅田のブログ -11ページ目

『Philosophy Of The World』 by Shaggs

はい。
週に1曲と言いつつ、毎日に匹敵する恐ろしいペースで更新している私の中で人気のコーナーであります「今週の一曲」ですが、1曲1曲について語り合っていたら私の中の全てのミュージックを言語化するには一体何年かかるのやら生きている間に出来るのやら、って感じなのですよ。
なので、アルバム単位で紹介することもあるかもよ!?っていうことで「今週の一枚」も新設したよ?
相変わらず更新頻度は週間ではないよ?
今週の一曲も続けていくよ?ラリーズとかゆらゆら帝国とか好きなアーティストは1曲ごと語っていくよ?

記念すべき第一回は、『Philosophy Of The World』 by Shaggs です。

Shaggsは私の好きなバンドベスト10に入る程の恐ろしいバンドです。
アングラ界では結構有名で、Nirvanaのカートが好きだったらしいし、フランク=ザッパに至っては、「Better than Beatles!!」と絶賛する始末ですよ。

どんなバンドかはWikipediaでも見ればいいんですけど、説明するより聴いてもらったほうが早いよね。
つべで拾ってきたのですが。

Philosophy of the world - The Shaggs


ね?
信じがたいでしょ?
再生していない人も静止画でこのバンドの面子を見れば、どんなものか想像がつくでしょ?

The Shaggsは60年代アメリカで生まれました。
要は、プロデューサーである父が愛すべき3人の愛娘達に楽器を買い与え、演奏させて録音してレコードにしたのがこのバンドです。
特筆すべきは、恐ろしいまでの演奏力のなさです。当たり前です。彼女達は完全なシロウトなのですから。
まず各パートについて、3ピースバンドなら通常ドラム、ギター、ベースとなるところが、彼女達はドラム、ギター、さらにギターとしちゃった時点で少し間違えています。まあ、この編成はJon Spencer Blues Explosionみたいでクールと言えなくもないですが。
演奏を聴いてみると、まずシンプルなドラムが聞こえ、その上にギターのバッキングが乗っていると思いきや、開始1小節目でドラムとギターのリズムが完全に分離します。
ギターにリズム感がないと言うか、ドラムが完全にシカトされているというのが正解でしょう。
しばらくギターが不思議なコードを引き終わった後にボーカルが入ってきます。
このボーカルが最悪にリズム感がなく、聴く者はどこが小節の頭なのか一瞬でわからなくなるカオスっぷり。
さらにメロディラインに完全にユニゾンしたギターラインが入るのですが、このようなギターの使い方は前代未聞だし前人未到だと言えるでしょう。カオスなメロディラインに完全についていっている点も神業と言えるかもしれません。

なお、この作品の凄いところは、マジで、演奏して、コレ、というところです。
芸術性を出してわざと下手にローファイ感を演出しているのではありません。
彼女達は至って真面目なのです。
真面目にやってアレなのです。
そこが素晴らしいと思うのです。

これを聴くと何を感じるかというと、それはもう「幸せ」です。
あの笑顔を見てください。
楽器を買い与えられ、自由に演奏する様はとにかく楽しそうです。私も初めてギターに触れたときはとてもドキドキしましたし、とにかく楽しかった。
彼女達はお世辞にも美人と言えないなりですが、プロデューサーである父親にはさぞかし可愛く見えたでしょう。
演奏にも大変感動したに違いない。
それを録音して世に出してしまうなどという世迷い事をしでかしちゃった気持ちもわかります。
そんな、そんな「幸せ」がこのアルバムからは溢れてくるのです。

音楽とは誰かに何かを伝えたり、何かを感じさせるものだと思っていますが、その方法はなんでも良いのですよね。
何かを感じさせる、という面ではこの音楽は大成功しています。演奏技術なんて皆無ですが。
逆に演奏が大変上手でも何も感じない音楽ってありますよね。最近巷に溢れているのは特にそんな感じ。何も無いです、中身が。
「演奏が上手」というのは手段であり目的ではないですよ。謂わば一種のパラメータですね。

とにかく、音楽を聴ける人にとっては非常に魅力的なバンドなんだ。Shaggsというのは。
でも彼女達にフィロソフィーがどうのこうの言われたくないよね。

「造花の原野」 by 裸のラリーズ

はい。
造花の原野です。

実はラリーズの曲の中では一番嫌いでした。
ある時まで。

ラリーズでは珍しいアップテンポの曲であります。
個人的にラリーズとはダウナー系の薬物に属するサイケデリアだと思っていたので(今でもそう思っていますが)、無理やりにスピード感を出したこの曲は嫌いでした。
スピード感のあるドラムにあわせる水谷氏のギターは、スローテンポのときとは逆に、ただ五月蝿いだけに聴こえてしまうのです。
しかも、水谷氏独特の表現である「半テンポ遅れ」は明確なコードのあるこの曲では失敗に思えます。
CDで聴いているときには、この曲が始まると同時に飛ばしていました。

しかし。

「People can choose」に出会ったときに私の認識は変わるのです。
Peole can choose とはBootである『Heavier than a death in the family』に収録されている1曲。
『Heavier than a death in the family』は『'77 LIVE』のコピーなのだが、『記憶は遠い』の代わりに『People can choose』が収録されている。
『People can choose』はぶっちゃけ、造花の原野と同じ曲なのだが、その高揚感は全然違う。

これは。
本当にラリっていて、何かが舞い降りたような緊張感のあふれる演奏なんです。

Les Rallizes Denudes -People Can Choose-



造花の原野のようなヌメーっとした演奏ではなく、水谷氏のギター、ドラム、ベースが互いに殺し合いをしているかのような牽制のし合いが聴き取れて、特に6分くらいのカオスな間奏から抜け出す瞬間の高揚感がとにかく素晴らしい!
当たり前のように半テンポずれたりするのだが、ドラマーもハッパをキめているのか、お構い無しのリズムキープ。
それにもかかわらず決めのクラッシュは的確なポイントではたいている。
また、この演奏はベースが秀逸で、自由な水谷氏の歌に合わせるように空気を読んだコード進行をしている。
さらに歌中と間奏の2種のベースラインを用意しており、間奏から歌へ戻る際の進行もベースラインの変化がリードしているわけだが、そのタイミングが他のパートと不思議なくらい一致しており、演奏はバラバラながらも奥底で一体化しているというノイズバンドの理想と言える演奏を繰り出しているのだ。
もうこれは奇跡ですよ。キセキですよ。
アイコンタクトでもしているのでしょうか?それにしても出来すぎです。

とにかく。
『People can choose』との出会いによって造花の原野という曲に対する認識が変わったわけです。
とにかく聴いてみるべきです。People can choose。
『Heavier than a death in the family』はそれだけでも価値があるブートCDです。買いです。
後期のPeople can chooseはフランジャーを多用したギターが印象的で、ハイペースながらもダウナー系の盛り上がりを再現した作風になっているので、これはこれでかなり良いですが。
ちなみに、初期はスローテンポのへヴィーなアレンジがされていて、後期とは違った印象がありますね。

造花の原野。
聴いてみるべきです。
時期による違いは大きいですが、各時期における良さが体感できると思われ。

2009年 第4クール

まいったなあ。
今クールは全然見るものがないですよ。
アニメですよ。

面白そうだなあって思うのは『とある科学の超電磁砲』なんですけど、原作知らないし、インデックスをまず見なくてはならないというハイパー面倒くさい事態に巻き込まれそうなのでパス。
あとは無い。もう無い。

最近どっちかと言うと昔の作品が見たくなってきて。
今サイコーに見たいのが「デ・ジ・キャラットにょ」です。あーいうナンセンスで何にも考えずに見れるのがシックリきます。銀魂みたいな。銀魂は時々真面目になるからついていけないのですが。
にょ。大人買いしようかな。

s/s 2010 Gucci

今シーズンも不況の影響から抜け出せていないようで、ファッション業界も相変わらずの暗雲に飲み込まれている状態ですが。
やはりGucciは良いです。フリーダ姉さんは良いです。

ウィメンズとメンズの両方に言えることは、白が基調だったってことですね。
最初の10ルックくらいは全身白のコーディネイトでカッチリ決めてきました。
その後は黒やら灰やらモノトーンを混ぜてきたり、オレンジやブルーなんかのフリーダお得意のトロピカルっぽい感じを混ぜてきたりしましたが、それは白をメインに目立たせるための布石の様な感じです。

ウィメンズからですが、今年はセクシーな感じがしました。
フリーダ姉さんの描く女性像ってとにかく強いウーマンで、どっちかと言うと女にモテる女って感じがしますけど、今回はセックスアピールが抜群でしたよ。
イブニングドレスはヴェルサーチよろしくのカッティングで攻めてきて、特にバックはセクシーです。
毎回絶妙なラインを持つパンツ、通称”フリーダパンツ”ですが、今年は例年よりもっと細い。スキニーを通り越して、スパッツみたいな使い方になってる。これもとってもセクシー。
ベルトやらストラップの使い方はロックで彼女らしくて吉。
個人的にはルック11のイエケリーヌ・スタンジェの着こなしが、ピッチリでロックでセクシーで大変良いと思いましたが何か?

メンズはどうでしょう?
フリーダ姉さんはブラジルにインスピレーションを受けたなんて言っているけど、どこが?後半の珍妙な柄のこと?
やっていることは例年と変わらないですね。細身のスーツに柄シャツ、変なネクタイ。いつものです。80年代、90年代のにおいもするし。それでも私は好きなのですが。
フリーダグッチの強いところはテキスタイルにあると思うのです。シャツとかスーツとか形はもうフリーダ姉さんの中では完成していて、布をイジルだけって感じだと思うんですよ。
それが毎年毎年飽きもせず私の心をグッと掴む完成度で作ってくるんですからスゴイ。
確かに今年の後半の柄は独特で、新しいグッチを見た気がします。
でも。
いまいちだなあ。
どうしてもA/W 2008-9 と比べてしまう。あの時のロシアンロックは神がかっていたからなあ。
個人的にはルック33のストールと、ルック35のパンツは買いですな。買えないけど。

全体的にはソコソコです。
フリーダグッチは安定していて、物凄い駄目っていうコレクションはないんですけど、全部同じに見えちゃうよね。
でも時々上記のロシアンロックみたいな凄いのやってくるから油断できないブランドなんです。

『氷の炎』 by 裸のラリーズ

氷の炎。
いかにもステイツが好きそうなパラドックスなタイトルじゃないか。
今週の一曲はLes Rallizes Denudeの氷の炎です。

裸のラリーズの特徴は、
・単調なコードに
・単調なリズム
・水谷氏の自由なヴォーカルと
・自由な爆音ギター
というのが一般的です。
要は水谷氏が自由に暴れられる場が用意されているってことです。
で。
『氷の炎』はそれら特徴を最も純粋に反映された曲だと思われます。代表曲と言っても良いでしょう。
1コードで単調なリズム。
それが永遠と繰り返される中に、ディレイのかかった水谷氏のおぼろげなヴォーカルが乗る。
歌い疲れて暇なときには適当な爆音フィードバックなギターが咆哮をあげる。
まさにダウナー系のサイケデリアの経典である。
平坦なヴォーカルラインは日本のお経を髣髴とさせ、それが海外での評判が良い原因となっているのかも。

特徴的なのは、時期による差。
特に拍子については時期によってかなり変わってますね。
初期は普通の4拍子ですが、75~79年くらいは6拍子となり、その後は前の4拍子に落ち着くという流れのようです。
有名な77’LIVEでは完全に6拍子で、しかも抑揚を極力抑え、爆音で畳み掛けるというスタイルはかなりしっくりきます。
個人的に好きなのは、bootのNaked Diza Starに収録されているヴァージョン。4拍子でリズムを重視した演奏で、しかも何故かサックスも入っている。まあ水谷氏の爆音ギターにかき消されているのですが、それはそれで新しいラリーズというか、リズム隊の強さが感じられます。
個人的には、ラリーズは水谷孝氏のモノだけではなく、彼に関わったバンドたち、特にドラムとベースなどの音楽の要となる奴らが良い味を出しているような気がします。
初期から後期まで言えることですが、彼ら音楽の要隊は明確な自己主張を抑えています。
例えば、ドラム。
生半可なドラマーは同じリズムでフィルイン無しで10分以上の曲を演奏することは不可能です。
何故なら、目立ちたくなってしまうからです。
所々フィルインを入れたり、画期的なリズムを試したりしたくなっちゃいます。
これは仕様がないことなんです。人間にはエゴがありますから。
でもそれは阿呆です。
阿呆なのです。
音楽には表面的に目立つ以上に高尚なやり方があります。
バンドってのは少人数ゆえ、エゴのぶつけ合いが結果を生むことが多々あります。東京事変などがその例でしょう。
しかし、オーケストラのように自己を消すことで見える方法もあるのです。
指揮者の下で機械の様な演奏をする。それにより、全体としてビビルほどの一体感が生まれる。これはどっちかと言うと高尚なやりかたでしょう。
そんな方法を実践しているバンドは皆無です。私が知る限りラリーズだけでしょう。
そして、ラリーズの指揮者は水谷氏です。

フィルインもせず10分以上も同じリズムを続けられる。これは一種のスキルです。
ベースも同じです。アドリブもせず、同じリズムを続ける。
それは単に水谷氏のために。水谷氏のフリーのために。水谷氏の才能に惹かれるがゆえに。
実はこれはスゴイことなんだ。
そんなメンバーが集まると言うことは。集められると言うことが。

兎に角、氷の炎は、いかにもラリーズって感じがする素敵な曲です。
ダウナー系サイケデリアです。車で一人で聴くとイケルはず。

聴いてみたらどうですか。