ロボットスーツで夢実現 HAL開発の山海・筑波大教授


 アイザック・アシモフのロボット小説や石ノ森章太郎の漫画「サイボーグ009」を少年時代に読みふけり、ロボットスーツを開発した大学教授がいます。ロボットスーツが戦いを挑むのは、SF映画に出てくるような地球征服をたくらむ悪の軍団ではなく、「少子高齢化社会」です。

●人間と機械の融合を追及

 日本医学会が4月上旬に大阪市で開いた医療用機器などの博覧会。軽い機械音を響かせながら、重さ25キロの米袋を片手で軽々持ち上げる男性が来場者の注目を集めた。

 男性の全身を包む白い機体が「HAL(ハル)」。開発したのは、筑波大大学院の山海(さん・かい)嘉之教授(48)。人間の身体機能を増幅させるロボットスーツだ。

 ハルは、人間が筋肉を動かすときに脳から出す生体電位信号を各関節部分のセンサーがとらえ、筋肉が動き出すよりも一瞬早く動いて、力を加える。使用者はハルに乗る形になるため、約20キロの重量を感じない。足腰が弱った人が階段を上り下りする際の支援や重作業の手伝い、災害現場での救援活動などの用途を見込む。少子高齢化社会での「右肩下がりの身体機能」(山海教授)を補うことが期待されている。

 ハルはまた、最適な動きを蓄積したデータベースによって動きが補完されるため、障害を抱えた人の訓練にも利用できる。生後まもなく小児まひ(ポリオ)を患った男性は昨秋、ハルの力を借り、45年ぶりに歩く感触を味わった。交通事故で頸椎(けい・つい)を損傷した男性も昨年8月、ハルを身につけた理学療法士に背負われながら標高4千メートル級のスイスの雪山斜面を移動し、長年の夢をかなえた。

 山海教授には、SFの世界でのロボット博士たちが魔法使いのように見え、あこがれを抱いてきた。筑波大で工学博士になり、89年に「サイバニクス」という人間と機械と情報の融合の可能性を探る新学問を立ち上げると、独自のロボットスーツの試作に励んできた。

 当初は学界でもやや異端児扱いで、「コソコソやってきた」(山海教授)。ところが、03年に現在のハルとほぼ同じ仕組みの試作機を出すと、周囲の空気が一変する。

 ハルの製造販売のため、教授が04年に設立した大学発ベンチャー「サイバーダイン」は05年11月、世界のIT業界関係者などが選ぶワールド・テクノロジー・アワード(世界技術賞)のIT機器部門大賞を受賞した。ちなみに前年の受賞者は、携帯型音楽プレーヤー「iPod」を開発した米アップルだった。

 一躍、「時の人」となった山海教授を、大手都市銀行や監査法人で長く起業家支援に携わり、昨年1月にサイバーダインに入社した坂本光広・最高執行責任者(57)は「恐れを知らずに言うならレオナルド・ダビンチ型の才能」とほめる。

 白だけでなく赤、青、銀色のハルもつくるなどデザインにこだわるのも、山海教授の異才の表れか。教授は3月下旬、東京都内で開かれた講演会で「黄色とピンクはつくらない。『何とかレンジャー』と間違われるので」と語り、会場を笑わせた。

●軍事への転用には警戒

 サイバーダインは今年、つくば市内に研究開発センターを建設する。生産設備を整え、来年度からはさっそく、年間400~500体を生産する計画だ。

 販売価格は一般利用者向けの下半身タイプで初年度が約200万円。用途に応じ、片足だけ、片手だけなどといった廉価型の選択肢を増やすことや、月額料金10万円以下のリース契約なども検討している。

 サイバーダインは研究開発センターの建設資金などを調達するため、昨年から今年にかけ、約14億円の第三者割当増資を実施した。発行したのは国内では珍しい「無議決権株式」。株式を購入しても経営には関与できない。

 出資者の経営に対する発言力を弱めるのは軍用化を避ける狙いもある。実際、ハルが注目を浴びるようになってから、山海教授のもとには、兵器への転用を狙った海外の軍需産業関係者から複数の接触があった。「金はいくらでも出す」という申し出もあったという。

 今は、ハルの特許権をサイバーダインから筑波大に移す検討も進めている。外資などに買収される恐れがない大学にライセンスを移すことで、永続的に平和利用に限定するためだ。

日立とGE、カナダ加え新会社 原子力事業統合


 原子力事業を統合する日立製作所と米ゼネラル・エレクトリック(GE)は16日、当初予定していた日米に、原発の新規建設が見込めるカナダも加え、三つの新会社を合弁で設立するとの基本合意書を締結した。

 日本の新会社は7月1日に設立。日立単独で設立した「日立GEニュークリア・エナジー」(茨城県日立市)に、日立の原子燃料以外の原子力発電所関連事業を承継させ、GEの出資を受ける。日立の出資比率は80.01%となる。GEから1人が取締役に就く。

 米、カナダの新会社は6月上旬に設立し、日立は40%程度を出資する。


韓国猛追 日本ブランドは再構築急務



政府は「日本ブランド」の強化を進めるが、ちぐはぐな動きも散見される。一方で、Samsungなどの韓国企業がブランド力を急速につけており、日本の得意分野である自動車、電機分野の地位は大きく揺らいでいる。


 「人口は多いが資源が少ない日本は、原料を輸入し、それを加工してモノを生産することで生きてきた。しかし、これから、世界と勝負し、あるいは共に歩んでいくうえで、貢献するのは知恵の部分だ」。政府の知的財産戦略本部の手足となっている知的財産戦略推進事務局の中川健朗内閣参事官は、国策で進める日本ブランド戦略の核心をこう語る。


 知財戦略本部の日本ブランド・ワーキンググループは平成17年2月にまとめた報告書で、日本ブランドを確立すべき分野として「日本食」「地域」「ファッション」の3分野を掲げた。


 ただ、当時、各省庁と意見交換するなかで「知財戦略本部がなぜ食やファッションをやるのか」と冷たい目で見られた。「日本が誇る知的財産だ」と説明しても、なかなか理解を得られなかったという。


 それでも、中川参事官は、日本ブランド戦略にかかわって日本食の素晴らしさを実感した。世界では「日本料理ほど高級なものはない」という評価があることも知った。低カロリーで栄養があり、健康にいい。素材を最後まで使い切る「もったいない」の精神も日本ならではのものだ。「これは、一朝一夕でできるものではなく、日本人のライフスタイルが生んだ特長であり、これこそ日本ブランド。胸を張っていい」と自信を深めた。


 また、日本各地に散在する歴史的な技術の結晶ともいうべき地域産業も有力な“種”だ。


 地域ブランドは各地の名物や特産品に、地域全体で商標の表示を認める仕組みだが、「『商標を登録しました、はい終わり』ではいけない。取った商標をいかにアピールして実際に利益を生むものにつなげるか」と中川参事官は強調する。しかも、目指す舞台は世界だ。


 例えば博多人形も、夕張メロンも、世界に通じる産業としての潜在力を持っている。「日本地図だけを思い浮かべるのではなく、世界戦略を視野に入れることが肝要。それだけの力が地域にはあると自信を持つことが一番大切」という。地域ブランドを地球儀の上で語ることが、究極の狙いだ。


 昨年、知財戦略本部長が小泉純一郎前首相から安倍晋三首相に代わり、日本の強みを発揮しようという戦略に拍車がかかった。「美しい日本」というキャッチフレーズのもとで、「日本の良さへの認識が浸透していった。手応えを感じる」と中川参事官。


 「外国の物まねをするのでは競争力を期待できない。伝統や地域に根ざした文化を見直し、そうした日本のパワーを外交や経済戦略としても広げていこうと、政府をあげてやっている。その主役はクリエイターや料理人など、文化を支えている人たち」と強調。国民全体で考えていこうという取り組みだとして、広く参加を呼びかけている。



何を狙う? ちぐはぐな政府の動き

 しかし、知財戦略本部が掲げる理想も、実現の手だてを考えるのは容易ではない。戦略に今ひとつ合致しない動きは政府内にも散見される。農林水産省が昨秋打ち出した海外日本食レストランの認証制度は、国が民間レストランを選別する「スシポリス」と批判を浴び、推奨制度への変更を余儀なくされた。


 一方、経済産業省が昨年、日本製品の国際競争力を高めるために制定した商品・サービス認定制度「新日本様式」も、流れに乗れない動きのひとつだ。


 経産省によると、新日本様式とは、日本の伝統的なデザインや機能、コンテンツを最先端技術と融合させ、現代生活にふさわしいものにするよう再提言することだという。日本らしさを追求し、新たな様式を確立させようという試みで、「新日本様式」そのものが1つのブランドとして打ち出されている。認定商品はブランド品ということになる。


 その共通概念を設定するため、日本人の自然観である「和の心」を中心に、日本らしさのルーツを整理したという。経産省では、「日本のよさとは、匠の心、振る舞いの心、もてなしの心。この3つは、自然との共存と調和の中に美を感じ、感性を培う心でもある」と話す。


 10月に発表された「100選」には、薄型テレビや電子楽器から始まり、インスリン用注射針、和紙でモノを包むための折形半紙、ペットボトルの緑茶など多彩な製品やサービスが選ばれたが、初年度ということもあり、認定を受けたのは53点にとどまった。


 しかも、製品・サービスが多彩すぎて、100選の対象が「デザインなのか、使い勝手なのか、イメージなのかが不明瞭」という声が多く、一般への認知度も低い。そもそも、世界に通用するブランド作りを支援する中小企業庁の「JAPANブランド育成支援事業」との違いがわかりにくい。


 経産省でも「盛り上がりは思ったほどではない」と、国策としてのブランド確立の難しさを痛感している。「ブランドは伝統があって初めて信用を得るもの。継続的な努力が必要」(経産省)とも話し、3月にはパリ商工会議所で“53選”の展示を行うなど海外へのPRにも取り組み始めたが、制度の先行きは不透明だ。



韓国猛追 日本ブランドは再構築急務

 国際的なブランドコンサルティング会社「インターブランド」が昨夏、米ビジネスウイーク誌と共同で発表した2006年版「世界ブランドランキング」で、トヨタ自動車のブランド価値は279億4100万ドルと前年の9位から7位に上昇し、3年連続で世界の自動車ブランドで首位を維持した。トヨタの高級車ブランド「レクサス」も30億7000万ドルで92位に入っており、両ブランドを合わせるとトヨタはフィンランドの携帯電話ブランド「ノキア」の301億3100万円を抜き、6位になる。
 (2006年世界ブランドランキング)


 リポートによると、トヨタはガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッド車「プリウス」などで「洗練された信頼感」を獲得。レクサスは米国、欧州に続き日本でも販売されたことで、世界的な販売網が整ったと評価されている。


 1974年にロンドンで設立されたインターブランド社は、各ブランドの決算データや、米投資会社による将来の利益予測から、ブランドの持つ力や企業収益への寄与度などを勘案し、インターブランドが算定した割引率を当てはめてブランド価値を算出。2000年から独自のブランドランキングを公表している。


 企業の価値を計る尺度は売上高や株式時価総額などの財務データがよく使われているが、インターブランドジャパンの田中英冨エグゼクティブコンサルタントは、「世界的にブランド価値が企業そのものの強さを表し始めている」と言う。


 2006年度のランキングは、首位がコカ・コーラ、2位がマイクロソフト、3位IBM、4位ゼネラル・エレクトリック(GE)、5位インテルと米国勢が5位まで独占しており、日本ではトヨタが最高位。田中氏は「トヨタこそ、真の意味でグローバル化を達成した日本のブランド」と指摘する。


 田中氏は昨秋、トヨタ自動車のブランド戦略の基本概念を尋ねたところ、同社幹部は「業界の先頭を走るダイムラーベンツやBMWなどの路線を後追いしても勝てない。日本企業として、全く新しい視線から戦略を立てる必要があった」と答えたという。こうして打ち出されたのが、プリウスの「人間と環境の調和」であり、レクサスの「日本らしい高品質」だった。


 自動車という成熟した工業製品にとって、デザインの付加価値を高めることがブランド戦略の基本となる。また、似たような性能と価格の製品がかち合った場合、「決め手となるのは、信頼感、親近感、ステータス(地位)などの『情緒的な価値』だ」と田中氏は指摘する。


 他の自動車メーカーに目を向けると、ホンダが欧米市場での高評価を背景に19位につけたものの、日産自動車は90位で韓国の現代自動車(75位)の後塵(こうじん)を拝し、他の自動車メーカーは100選から漏れている。


 韓国勢は、自動車と並ぶ日本の基幹産業の電機分野でも互角の情勢だ。2006年度のランキングでは、サムスン(韓国、20位)、ソニー(26位)、キヤノン(35位)、松下電器産業(77位)、LG電子(韓国、94位)と日韓が入り乱れる。


 日本勢を抑えたサムスンは、日本では安価なイメージが持たれているが、米国市場などでの受け止められ方は大きく異なる。好調な液晶テレビで存在感を発揮し、1990年代後半からブランド戦略を進めてきた携帯電話端末も、洗練されたデザインで若者向けにアピールしている。


 国際的な工業デザイン学会で自社製品をズラリと並べるのは、優れたデザイナー確保するためだ。国際見本市でも、これまで日本企業が陣取っていた中心スペースにブースを構え、先進的なデザインで日本企業をうならせる。


 「日本企業は目標として売上高や市場シェアなどの数字を掲げるが、サムスンは企業ブランドのイメージのランキングで世界ナンバー3に入ることを目指している」。つまり、ブランド力向上への企業姿勢が違うのだ──と田中氏は指摘する。


 例えば、高いブランドイメージを築くために、製作と販売部門が一丸となり、商品開発から販売、宣伝まで取り組むシステムを採用。技術者と営業、広報担当が企画の段階から合同で自社製品の開発について綿密に話し合いを重ねるといい、あくまでブランド力を軸に商品を生み出そうとしている。この手法は膨大な宣伝広告費がかかるが、サムスンには「ブランド力が上がれば商品の売り上げは確実に伸びる」という確信がある。


 自動車も電子機器も、日米欧韓の製品間で機能や性能はほとんど変わらなくなった。雌雄を決するのはブランドイメージという市場環境で、日本勢はじりじりと韓国勢に詰め寄られている。政府の知財戦略本部は「食」「地域産業」「ファッション」「コンテンツ」など新分野の産業振興を打ち出したが、日本の得意分野である自動車、電機分野の地位は大きく揺らいでおり、こうした分野の日本ブランドも再構築が急務だ。


クロスメディア時代にテレビ局が失う広告のパイの大きさ


 このままではテレビCMはネット広告に押され市場の幾ばくかを失ってしまう。問題はそれが1割なのか2割なのか、あるいは5割なのかという違いである。これを食い止める特効薬が「クロスメディア」広告であり、同時にそれがグーグルや楽天のような企業が参入する大きなチャンスとなる。前回述べたデジタル化しつつあるテレビCM流通市場の流れの中で、これからのクロスメディア的な広告ビジネスについて考えてみようと思う。(江口靖二)


■クロスメディアとメディアミックスの違い

 マーケティング的な言葉遊びになりがちだが、わかりやすく言えば「メディアミックス」は新聞、雑誌、ラジオ、テレビにそれぞれ何割ずつ振り分けましょうかという「分配の話」で、広告会社の営業トークみたいなものだ。これに対して「クロスメディア」はマス4媒体にデジタルサイネージ(ネットワークに接続されたディスプレーなどによる電子看板) が加わり、さらにネットとケータイの双方向性が追加された「繋がり」の話で、IT企業の営業トークだと私は区別している。これらの差違を詳しく議論することにはあまり意味を感じないが、クロスメディアはユーザー側が単純な受け身ではないという点でこれまでと異なるのは確かだ。

 クロスメディアを考えるときには、ネットだけではなくケータイとデジタルサイネージを忘れてはいけない。サイネージ自体はテレビのようなマス的な強力なリーチを得られない。ここだけで完結しようとすると所詮は二流のメディアから脱却できない。しかし「その場所」とか「その時」という意味を持ったリーチは実は在宅メディアであるテレビがもっとも弱い部分だ。だからクロスメディアに意義がある。

 テレビはF1(女性20歳~34歳層)、M1(男性20歳~34歳層)のような大雑把なセグメントしかしていないと認識されている。実際にはそうでもなくもっと詳細に定めているのだが、その先にさらに進んでいるわけでもない。

 世のマーケティングの潮流では性別、年齢、職業、趣味から購入履歴などのセグメンテーションをどんどん複雑化していこうとしている。「40歳・既婚・男性・会社員・持ち家・年収700万円・趣味ドライブ」をロジカルにターゲットとするのも悪くはないかもしれない。しかし「いま渋谷のハチ公前にいるあなた」というセグメントで呼びかけられたほうが、「それは私です」と人は振り向いてしまうものである。

 これからは「いま」と「ここ」の分析を緻密に行うことが重要になってくるはずだ。「いま」については季節、時間、天候、昨日の高視聴率テレビ番組、ブログやSNSなどがパラメータとして有効だろう。「ここ」は消費の現場との距離が重要だ。要するに店の近くにいるターゲットをどうやって引き寄せるかという話であるが、これは全国規模で広告を流すナショナルスポンサーよりはかなり地味な部分で効果を表すように思える。例えば、レストランなどの空席情報と連動した駅前のサイネージは有効ではないだろうか。普及はビラ配りのコスト以下で実現できるようになるかどうかが鍵だろう。



 マスに対して絨毯爆撃をするテレビCMと、ピンポイントの局地戦を狙うデジタルサイネージ、それをつなぎ合わせるツールがパーソナルなディスプレーを備えた携帯電話だ。

 私は携帯電話のサイネージ的利用には2つのメリットがあると考えている。1つはいつも持ち歩いていること、言い方を変えれば位置情報が得られることだ。位置情報を収集してもかまわないというパーミッションをきちんと取得し、その価値があるサービスを提供することができれば常に新鮮なマーケティング情報を収集可能であり同時に提供可能でもある。

 もう1つは携帯をリモコン的に使うという発想だ。デジタルサイネージは屋外に設置されるので、インタラクティブな操作を行うためには装置が必要だ。これを維持管理するのはコンビニのキオスク端末がそうであるように、故障や乱暴な使用に対するメンテナンスコストが大きい。その点もともと通信機能を備えている携帯電話を使うというのは賢明な選択なのである。



■クロスメディアでこんな広告の未来が

 クロスメディア的な広告の具体例をイメージしてみよう。たとえば商品がクルマだとしてテレビでインパクトのあるCMをオンエアする。もちろん「続きはWEBで」という検索窓がついている。WEB上ではメーカーからの詳細説明に加えてブログが設置されており、ネガティブな話にもきちんと対応している。

 さらにガソリンスタンドに設置されたデジタルサイネージでは給油を始めると同時に車の燃費の良さをアピールする映像が映し出される。エコ繋がりで電球型蛍光灯とのダブルスポンサーというのもいいだろう(地上波テレビではダブルスポンサーは基本的に認められていない)。さらに続いて清涼飲料水のCMが流れる。もちろん目の前の自動販売機で購入可能だ。ケータイはもちろんカーナビも重要なメディアとなってくるに違いない。

 このときにテレビCMとサイネージとWEBのコンテンツはそれぞれの特性を踏まえ異なる内容になるはずだ。異なる広告主の商品のCMを、同じ場所にある異なる媒体でそれぞれ流せるように広告会社がプランニングするのは、システム的に連携していないと不可能だ。そのためにはこれらを正しく紐づける必要があり、それにはタグのようなメタデータとそのための処理ロジックが不可欠になるのである。



■たとえばグーグルはどうするのか

 そしてこのあたりになってくるとグーグルの姿が見え隠れしはじめる。彼らがこれまでの手法でテレビ広告業界に参入するためにはこのメタデータを必要とするはずだ。そのための方法は2種類しかなく、テレビ局から入手するか、自分で作るかである。

 前者はテレビ局との何らかのアライアンスを意味することになり、全米のFM局を600局以上所有するクリア・チャンネル・コミュニケーションズとの提携などはそういう動きだ。後者の場合は自分でモニタリングあるいはネット上から収集することになるが、この場合の決定的な問題点は放送後にしかデータを入手できない点だ。もっともリアルタイム視聴が本当に意味をなさなくなるのであればこれでも十分可能だろう。

 テレビCMの流通がデジタル化、ネットワーク化されようとしていくなかで、どこまでがオープンになっていくのか。おそらく2011年のアナログ停波に向けてこういう動きが徐々に活発化していくだろう。クロスメディアを意識した発想を持ったマーケティングや事業デザインが必要なのは間違いない。私はこのまま放っておけばテレビは3割くらい市場を失うと考えている。これが5割ならさすがに大騒ぎになるところだが、元がリッチなので3割は許容範囲という意識がどこかにあるとすれば、チャンスは他社のものとなるのだろう。


ウィルコム、「RX420IN」の最新ソフトウェアを公開


ウィルコムは、2007年5月10日、ネットインデックス製 W-SIM「RX420IN」の最新ソフトウェアを公開した、と発表した。

同ソフトウェアは、RX420IN のファームウェアを Ver1.02へバージョンアップするためのソフトウェア。

バージョンアップを行うには、DD(WS002IN)、W-ZERO3(WS003SH、WS004SH)、W-ZERO3[es](WS007SH)のいずれかが必要となる。

主なアップデート内容は、消費電流の改善。その他、動作の安定性の向上が図られている。

アイビス、フルブラウザアプリ「ibisBrowserDX」国際化版を提供開始


アイビスは、2007年5月10日、ドコモの FOMA、および au のオープンアプリプレイヤー対応機に提供しているフルブラウザアプリ「ibisBrowserDX」の国際化版を5月9日から提供開始したことを発表した。

今回の提供は、日本国内の端末と違い、形、性能、ディスプレイ面積などが多様な海外端末において、どれだけの端末で動作するか、またどのような動作をするかを調査することを目的とし、評価用として提供される。

同社では、利用ユーザーからの報告を元に、より多くの端末で動作するアプリケーション開発を目指すとしている。

なお、今回の提供は海外向けのため日本国内からの利用はできない。


ソフトバンク、家族間通話無料「ホワイト家族24」をリリース


ソフトバンクモバイルは、2007年5月9日、同年5月3日に申込件数400万件を突破した「ホワイトプラン」について、家族間の通話が24時間無料になる「ホワイト家族24」を6月利用分から適用する、と発表した。

ホワイト家族24は、ホワイトプランおよび家族割引に加入している家族間の国内通話料金が、追加料金不要で24時間無料になるサービス。

既存のホワイトプラン+家族割引では、21時~1時の時間帯の通話料金は21円/30秒(税込)だが、ホワイト家族24の導入によりこの時間帯も無料になる。

なお、国際サービス、TV コール、64K デジタル通信の通話料は対象外。

すでに、ホワイトプランおよび家族割引に加入している場合、6月の利用分から自動的に適用される。「家族まるごと割引」「家族なんです」「家族割引パック」に加入中など、契約状況によっては、ソフトバンクショップにて「家族割引」への変更申し込みが必要となる。


Eストアー、「ショッピングフィード」の公開先を計16サービスへ拡大


Web ショップの総合支援を行う株式会社Eストアーは、2007年5月9日、商品データベース「ショッピングフィード」の情報公開先として、新たにコマースリンク、日本システム開発、プラスカムの3社と連携開始した。

Eストアーが昨年11月より開始した「ショッピングフィード」は、大手ポータルサイトや、アフィリエイト ASP などに、Web ショップ各店舗が販売する商品情報を自動的に掲載、集客・宣伝できる。

今回新たに、コマースリンクが運営する「ショッピングサーチ・アラジン」、日本システム開発が運営する「イークリック」、プラスカムが運営する「1億人.com」の3サービスと連携し、「ショッピングフィード」の商品情報を公開した。

「ショッピングフィード」はすでに13サービスと連携を行なっており、本日の連携により公開先は合計16サービスとなる。


生保保険料収入、4年ぶり前年割れ 死亡保障の低迷続く


 生命保険38社の06年度の保険料収入が、前年度を割る見通しになった。一般企業の売上高にあたり、減少は4年ぶり。主力である死亡保障の商品の低迷が続いていることに加え、成長が続いた変額年金保険の伸びも頭打ちとなってきたためだ。38社合計で44万件の不払いで消費者の不信が募れば、07年度は一層の低迷もありうる状況だ。


 生命保険協会によると、06年4月から07年2月までの生保38社の保険料収入は24兆6000億円で前年同期比1.3%減。各社とも2月後半から3月は不払い調査に営業担当を含む大量の従業員を投入しており、3月で巻き返すのは困難な状況だ。2月の個人向け保険の新規契約件数は前年同期比13%減だった。不払い問題による消費者の不信感が払拭(ふっしょく)できなければ、今後の新規契約減や解約増も避けられない。


 また、残高は、個人向け保険で死亡保障額の合計の契約高が10年連続で減少が確実。96年度のピーク(1495兆円)から減少を続けており、06年度は1030兆円規模となり90年度ごろの水準になりそうだ。


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消える!?PHS ウィルコム孤軍奮闘、サービスで個性
ドコモがPHSを来年1月に終了し、PHSで音声通話とデータ通信を提供する唯一の事業者になるウィルコムは、通話の定額制など携帯各社にはない新サービスを矢継ぎ早に打ち出し、携帯各社との対立姿勢を鮮明に。

NTTドコモが、PHS(簡易型携帯電話システム)サービスを終了する。携帯電話事業に経営資源を集中させるためだ。大手の撤退で、PHSで音声通話とデータ通信を提供する国内事業者はウィルコムのみとなる。ウィルコムは、24時間、通話が無料の定額制など携帯各社にはない新サービスを矢継ぎ早に打ち出し、携帯各社との対立姿勢を鮮明にし、日本生まれのPHSの存続を目指す。

ドコモは2008年1月7日にPHSサービスの提供を終了する。PHSサービス利用者に対して自社の携帯端末への移行を促し、契約者を囲い込む考え。

一方、単独でPHSを展開するウィルコムは、旧DDIポケットを前身とし、05年2月に現社名に変更。加入者数は1998年度には約370万件に達したものの、次第に携帯電話に市場を奪われ漸減した。

05年以降、ネットワークの整備を急速に進め、PHSの弱点だった「つながりにくさ」を少しずつ解消。現在では基地局数が16万局となり、全国の人口カバー率は99・3%にまで広がった。つながりにくさの解消に加え、一般向けで定額制、法人向けではデータ通信を主力した機種投入した結果、07年3月末の累計契約数は前年同月比16・3%増の453万件と過去最高を更新した。法人向け移動体通信ではシェアで50%を握るまでになっている。

市場では、ドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルなどの携帯陣営に、ウィルコムは単独で挑む形になるが、ウィルコムは今後、家庭ではIP(インターネットプロトコル)電話、外出先ではPHSとして利用できるサービスで家庭市場も開拓する考え。また、消費電力が小さく機種の小型化を図れるPHSの利点を活用し、プラモデルのように利用者が組み立てる「プラモフォン」など「魅力的な端末の投入を急ぐ」(喜久川政樹社長)方針だ。(