MS、オンライン広告のaQuantiveを買収へ
買収金額は同社史上最大の60億ドル
Microsoftは米国時間5月18日、デジタルマーケティング・サービス企業のaQuantiveを60億ドルで買収する計画を発表した。同社はこの買収で、広告分野における存在感を増大させたい意向だ。
今回の買収金額は同社史上最大。Microsoftはこの買収で、メディアプランニングやビデオオンデマンド、IPTVなどの分野を横断したより高性能な広告製品や技術をサポートすることが可能になると述べる。aQuantiveは、広告主や出版社向けに「Atlas Media Console」や「Drive pm」ツールを提供し、インタラクティブ広告代理店の「Avenue A | Razorfish」を傘下に持っている。
Microsoftの最高経営責任者(CEO)であるSteve Ballmer氏は声明で、「広告業界は信じられない速度で進化し、成長している。オンラインやIPが割り振られたプラットフォームへの移行が進み、こうした業界のソフトウェアの重要性が格段に高まっている」と述べた。同氏は「本日の発表は、初期投資である『MSN』から『Xbox Live』『Windows Live』『Office Live』を含むより広範なMicrosoftのネットワーク、そしてさらにはインターネットにいたるまで、われわれの広告ネットワークを進化させる次のステップであることを表している」と語った。
Microsoftは、aQuantive株1株につき66.50ドルを支払う予定。これは、17日の終値35.87ドルに85%のプレミアムがついた価格である。
今週に入ってから、英国の大手広告会社であるWPP Groupが、24/7 Real Mediaを6億4900万ドルの現金で買収する計画を発表した。24/7 Real Mediaは、Microsoftが買収を検討しているとうわさされていた。4月には、GoogleがDoubleClickを現金31億ドルで買収することに合意したと発表した。Yahooがそれに続き、オンラインディスプレイ広告のリアルタイムな取引所を運営するRight Mediaを約6億8000万ドルで買収することを明らかにした。
Forrester ResearchのアナリストShar VanBoskirk氏は「いよいよオンラインマーケティングへのシフトが始まった。業界の人間はここ10年、従来のメディアからオンラインへの移行について話してきた。ここのところの買収のインパクトや金額からも、大手メディアや代理店が、オンラインマーケティングに期待していることが分かる」と述べる。
1997年創業のaQuantiveには現在約2600人の従業員がいる。本社はシアトル。
あるアナリストは、市場のすべてのプレイヤーがわれがちに企業買収を進めるなか、Microsoftは早急な決断を迫られたのかもしれないと述べる。買収の成果を最大限に発揮するには課題もあるからだ。
Pacific Crest SecuritiesのアナリストBrendan Barnicle氏は「Googleによる(Doubleclickの)買収時からも分かるように、Microsoftは事業を拡大しようと努力している。そして、自分たちが遅れをとっていることもよく分かっている。MicrosoftはMSNやこの分野の取り組みで苦闘している」という。
aQuantiveの買収を難しくしている要因として、買収時期がWindows Live戦略を軌道に乗せようとするタイミングに重なっていることが挙げられる。
「MicrosoftはWindows Liveに取り組みながら、買収を進めることになる。これは、心配ではある。MicrosoftはWindows Liveで一進一退の展開を見せているが、今回の買収で、検討しなければならないことが増えることになる」(Barnicle氏)
買収を通し、Microsoftでは広告主やパブリッシャー、広告代理店にMicrosoftのネットワークだけでなく、あらゆるウェブサイトや配信チャネル(インターネットTVやビデオオンデマンドなど)に利用できるデジタル広告、サービス、テクノロジーツールの完全な選択肢を提供する意向だ。
aQuantiveは傘下企業のAvenue A | Razorfishを通じてデジタルマーケティングサービスを、Atlas事業を通じてデジタルマーケティング技術を提供している。またDRIVEpm事業ではオンライン広告の在庫をまとめて購入し、広告主に対し、ターゲットに応じた再販を行っている。
aQuantiveのAtlas事業はDoubleClickと直接競合する。またGartnerのアナリストらによると、DRIVEpmは広告ネットワーク企業の中で8位につけているという。
買収は2007年後半に完了の予定。Microsoftの幹部らは18日に開催したアナリスト向けの電話会議で、aQuantiveの事業について、自社の既存のものと重複する部分が少なく、よい補完関係を築けると述べた。
今回の買収で特に重要なのは傘下企業であるAvenue A | Razorfishの存在だ。Microsoftは広告サービスビジネスで新しいプレゼンスを確保できるだけでなく、新しいリッチメディアやビデオを配信するためのSilverlightを広めるうえで役に立つと、Gartnerのアナリストらはいう。
買収金額はMicrosoft史上最大。Microsoftにとってこれまで最大だったのは20億ドル規模の買収だった。
Microsoftの最高財務責任者(CFO)Chris Liddell氏はアナリストらとの電話会議で「社内で準備するよりも早い成長を促進するのであれば、規模に関係なく、企業を買収する用意がある。これまでの小規模な買収においてもそう考えてきたし、大規模な買収についてもこの考えを貫いている」といった。
その一方で同氏は、戦略的に大きな意味がなければ買収はしないことも付け加えている。
「今回の買収で得られる市場機会は非常に大きい」(Liddell氏)
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