父の日の今日は、17時から応急診療所でした。
何人めかの患者さんは80歳代の男性です。
元々便秘気味で、家からお腹が張って苦しいとのことです。
家で浣腸をしたのですが、肛門の近くに溜まっている便が邪魔をしてスッキリしないとおっしゃっています。
こういう場合、さらに浣腸を加えてもその栓をしている便の塊を取らない限り奥の便は出てくれません。
どれくらい溜まっているのかを見るために、患者さんに下着を下ろしてもらい肛門に中指を突っ込んで状況の把握に努めました。
確かに溜まっています。
それも粘土みたいになった便がしっかりと溜まっています。
普段ならそこで看護師さんに交代して便をかき出してもらう(これを「摘便」と言います)のですが、今日はなぜかそのままの流れで私が摘便をすることになってしまいました。
潤滑ゼリーを塗った中指(当然手袋はしています)を肛門の中に入れて、それでホジホジします。
栓をしている便は壁みたいになっているので、いっぺんに出すことは不可能です。
ホジホジしながら少しずつ描き出していきます。
それを何回か繰り返してある程度出たと思ったのに、その奥からまた同じような便が肛門近くに押し出されてきます。
またそれをホジホジして結構の量を出すことができました。
ところが、先ほど自宅で行った浣腸が効いてきたのか、おじいさんは下着をずり上げながらそのままトイレに駆け込んで行きました。
日常の診療の中でも便秘のお子さんはおられます。
ただ普段、自分の仕事場ではその作業は看護師さんにお願いしています。
その理由は看護師さんの方が断然上手だからです。
そして肛門の先に詰まった便を取り除けば、だいたいそれであとはスムーズにことが運びます。
しかし、大人は違いました。
後から後から粘土が押し出されてくる様子に恐怖すら覚えました。
そのおじいさんに、かかりつけの先生から便秘の薬を出してもらうよう優しくでもしっかりと伝えました。
考えてみると、最後に自分で摘便したのは30年以上前のことかもしれません。
だから今世紀初の敵便だった気がします。
なかなか印象に残る父の日でした。