内輪揉め 2024-01-28 | 日々雑感

日々雑感

西宮市の小児科医のブログです。

今日の日記の内容は、アイスホッケーに興味のない方には全く関係ない話です。

でもどうしてもここに書いておきたかったので、できれば最後までお読みいただければと思います。

 

昨日、北海道の釧路市に本拠地を置くアイスホッケーチーム「北海道ワイルズ」の関係者が記者会見を開きました。

主なる内容は次の2点です。

1.釧路市に本拠地を置くことを諦めて、首都圏にチームを移す

2.現在日本のアイスホッケーのトップリーグであるアジアリーグへの参入はせず、独自のリーグを新たに作る

この発表を聞いた時、私は思わず椅子から転げ落ちそうになりました。

 

釧路市は昔からアイスホッケーが盛んな土地です。

そして現在まで数多くの名選手を生み出してきました。

その選手たちが集う地元のチームが日本製紙クレインズでした。

前身は十条製紙アイスホッケー部で、創部は1949年にまで遡ります。

十条製紙時代はそれほど強いチームではありませんでしたが、日本製紙クレインズになってから力をつけ、2006年から2018年までの11年間で7回も全日本選手権で優勝しました。

しかし本社の業績不振の影響を受け、2019年をもって廃部になりました。

その中で「釧路からアイスホッケーの灯を消すな」と地元のファンが中心になってチーム存続活動を行い、生まれたチームが「ひがし北海道クレインズ」です。

2019-2020年シーズンからアジアリーグに参戦しました。

(現在日本のチームだけではリーグ戦を行えないので、韓国やサハリンのチームを加えてリーグ戦を行っているのがアジアリーグです)

ところがそこに襲いかかったのがコロナです。

コロナの影響で試合を開催しても観客を入れることができず、また入れたとしてもその数が厳しく制限されたこともあって、初年度から「ひがし北海道クレインズ」の経営は厳しいものとなりました。

それがために選手への給料の遅配、さらに未払いが生じていき、選手の不満が爆発。

その受け皿としてできたチームが今回問題になっている「北海道ワイルズ」です。

選手は全員新しいチームに移籍したので、「ひがし北海道クレインズ」は選手が誰もいなくなってしまいました。

それでも2023-24のアジアリーグ参戦を目指したのですが、実際選手のいないチームが試合ができるはずはありません。

結局「ひがし北海道クレインズ」はアジアリーグに不参加、そして昨年11月末をもってアジアリーグを脱退することになりました。

そうなると、普通に考えたら代替チームの「北海道ワイルズ」がアジアリーグに参戦すればいいですよね。

ところがそうはいかなかったのです。

昨年6月に「北海道ワイルズ」がアジアリーグに加入申請を出しました。

ただその前に「北海道ワイルズ」が、給料の未払いなどでチーム運営が破綻していた「ひがし北海道クレインズ」をアジアリーグから除名するよう運動していたことが問題になってしまいました。

それで心象を害したアジアリーグ側が「北海道ワイルズ」の加入を認めなかったのです。

そしてそれがいまだに尾を引いて、「北海道ワイルズ」とアジアリーグの関係が拗れに拗れ、そこに地元の釧路市も関係し、結局「北海道ワイルズ」は釧路を離れることになりました。

この辺りの経緯については、アイスホッケーの情報を専門に流しているサイトが詳しく報じてくれています。

ご興味のある方はお読みください。

 

もしこれが実現してしまうと、釧路からトップリーグで試合を行うチームがなくなってしまいます。

それを新たに作ろうにも、釧路自体の経済が落ち込んでいる状況を考えると、その可能性は極めて低いです。

そうなると下手したら釧路からアイスホッケーの灯が消えてしまうかもしれません。

ただでさえ競技人口が減ってレベルが下がってきている日本のアイスホッケーなのに、それがさらに加速してしまうことになるのは明らかです。

この日記を読んでくださる方でアイスホッケーの試合を生で見たことのある方はほとんどおられないと思います。

でも実際に見ると、これほど面白いスポーツはありません。

ルールは簡単ですし、観客席とリンクの距離が近いのでその迫力を間近に感じることができます。

そんな素晴らしいアイスホッケーなのに、どんどん衰退していくのを指を咥えて見ておくだけなのが残念でなりません。

日本のアイスホッケー界において、内輪揉めなんてしている余裕は全くないはずです。