どうなる釧路 2023-07-22 | 日々雑感

日々雑感

西宮市の小児科医のブログです。

NHK大河ドラマ「どうする家康」は、明日いよいよ前半の山場「本能寺の変」が放映されます。

岡田准一さん演ずる織田信長がどんな亡くなり方をするのかに注目です。

こう書くと私が毎週大河ドラマを見ている様に思われますよね。

実はほとんど見ていません。

さっき帰宅してたまたま見ていたNHKの番組に岡田准一さんが出演されていて、明日のことを喋っておられたので知りました。

でもたぶん明日は20時からテレビの前に座っていると思います。

 

さて今日の日記のネタはアイスホッケーです。

「真夏にアイスホッケー」に違和感を覚える方も多いかもしれません。

しかしアジアリーグアイスほっけ−2023-2024は9月16日に開幕します。

そしてそれに向けて各チームの選手たちは氷上練習を始めています。

ところが練習をしていても試合に出られない選手たちがいます。

それは北海道ワイルズの選手です。

 

日本でアイスホッケーのメッカと言われる街が3つあります。

一つは私が愛してやまない栃木日光アイスバックスが本拠地を置く日光、もう一つは昔からの名門王子製紙アイスホッケー部(現レッドイーグルス北海道)の発祥の地苫小牧、そしてもう一つが釧路です。

釧路にはその昔十条製紙アイスホッケー部がありました。

創部は1949年ですから、第二次世界大戦が終わって間もなく作られた歴史あるチームです。

その後親会社が他の会社と合併し名称が変わったため、それに合わせてチーム名も日本製紙クレインズに変わりました。

「クレイン」とは鶴のことで、釧路近くにやってくる丹頂鶴をイメージしたチームマスコットも作られました。

その後全日本選手権を9回制覇し、名実共に日本のトップチームの一つとして活躍していました。

ところが親会社の業績不振のため、2019年を持って廃部となりました。

「釧路からアイスホッケーの灯を決してはならない」と地元のファンが立ち上がり、ひがし北海道クレインズとしてチームの存続が決まりました。

しかしそこで襲ってきたのがコロナです。

コロナの影響で観客動員が激減、元々経営基盤が弱かったチームは経営が悪化、ついには選手の給料すら払えない状況になってしまいました。

ここからは今年のクレインズの状況をWikipediaからコピペしています。

  • 5月2日、所属する全選手、監督が給与遅配の継続を受け、来季以降チームとの契約をしない意向を表明。同日、齊藤毅監督が現チームのアジアリーグ除名と、全選手が移籍し釧路市を拠点とする新チーム「北海道ワイルズ」(仮称)を発足し、アジアリーグ参入の嘆願書を釧路アイスホッケー連盟へ提出した[9][10]。また、2022年3月期決算で1億8100万円の債務超過に陥っていたことなども受けて、所属していた選手などが釧路地方裁判所に破産の申し立てを行ったが、6月22日に「債権は弁済によって消滅した」として退けられている[11]
  • 6月14日、釧路市教育委員会が運営会社に交付した企業版ふるさと納税の寄付金の一部が、滞納していた税金分として札幌国税局に差し押さえられていたことが判明[12][13]。市教委は補助金の交付に関するルールの見直しを検討すると発表した[14]
もうボロボロです。
 
ところがアジアリーグアイスホッケー事務局は新チームの「北海道ワイルズ」の新規加盟を認めませんでした。
理由は次の通りです。

 

2023年6月25日に北海道ワイルズから当リーグへの加入申請の提出を受けました。その申請についての現時点でのリーグとしての見解は次の通りです。

  1. ひがし北海道クレインズ(以下クレインズ)の除名を前提とする申請であれば受け付けることができません。また除名をさせようとするような行動とは無関係であることが今後申請を受理して審査を進めるための条件です。
  2. 釧路市をホームタウンとしての申請ですが、釧路市にはすでにクレインズが現存します。両者が競合する部分もあることから、同地域内でどのようにクレインズと協調、共存を図るのか、調整の方針を確認する必要があります。
  3. ホームリンクの記載が無いなど、資料の不足がありましたので、それを補っていただく必要があります。

この見解について北海道ワイルズへお伝えいたしました。これらのことが充足されれば、2024-25シーズン以降の加入申請として受理し、審査を行ってまいります。

2023年6月28日
アジアリーグアイスホッケー

 

最後の文面にある2024-25シーズンとは来季のことです。

これで北海道ワイルズはどんなに準備をしてもアジアリーグには参戦できないことになりました。

開幕に向けてトレーニングを積んでいる選手たちの気持ちを思うとつらすぎます。

 

さて、経営危機に陥り選手が誰もいなくなったひがし北海道クレインズはどうなったでしょう。

これに対して先日アジアリーグから発表がありました。

 

ひがし北海道クレインズは現時点において選手登録条件を満たさなかったため、同チームは今季のリーグ戦に参加できないこととなりました。

ひがし北海道クレインズからリーグチェアマンに対し、経営改善に向けた各種計画、蓋然性を示す資料の提出が約束されていたにもかかわらず、それが行われなかったことは大変遺憾であります。

このため、今季のリーグ戦については、ひがし北海道クレインズを除く5チームで公式戦を開催することといたします。変更後の試合日程と開催要項については、近日公表いたしますが、ひがし北海道クレインズ以外のチームの試合日程は原則としてすでに公表した試合日程と変わらない予定です。

今回のひがし北海道クレインズ不参戦という結論に至る過程において、同チームを除名して参戦しようとし、訴訟ほか、さまざまな手段でチームの破綻を図った未登録の団体およびそれに同調する行動を取った組織に対し、フェアプレイを重んじるスポーツにふさわしくない印象を社会に与えたことについて、強い遺憾の意を表します。ことの発端はひがし北海道クレインズの給与遅配にあるとはいえ、その後の上述組織の不適切な取り扱いが混乱を助長したと認識しており、今後このようなことが起きぬよう関係各位の適切な行動を要望します。「伝統あるクレインズ」が来季にアジアリーグに参戦が可能となるよう、そして、それを通じて釧路アイスホッケーの発展に繋がるよう、地域一丸となった支援をお願いします。

アジアリーグ所属各チームは、本件に伴い生じる元ひがし北海道クレインズ所属選手のプレー機会を確保すべく、各チームにおいて選手との交渉の機会を設けさせていただく予定です。

本日まで多くの情報が錯綜し、ファンの皆様方、関係者の皆様方にご心配とご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。

以上

 

最後の「以上」に有無を言わさぬ響きを感じます。

これで、今季釧路の地にはアジアリーグに参加するチームがなくなってしまいました。

「氷都釧路」と言われ、数々の名選手を産んだ地なのに、何とも寂しいことです。

そして衰退の一途をたどっている日本のアイスホッケー界を象徴する出来事です。

 

アイスホッケーを愛する者にとっては、本当に寂しい話です。