文章には「よく使われる王道パターン」がいくつか存在します。
非常によく使われるパターンになると、必ずどこかで目にしたことのある言い回しだったりするものです。
そのぐらい、いわゆる「ベタな」ノウハウが存在するのです。
たとえば、問いかけと回答のセットは王道の中の王道です。
次のような言い回しを見たことがあるでしょう。
「非正規雇用の働き方の1つに派遣社員があります。
派遣社員には、登録型派遣と常用型派遣の2種類があることをご存知でしょうか?
登録型派遣とは・・・・・・」
上の例では、「〜をご存知でしょうか」と問いかけたあとで、その答えを述べています。
わざわざ問いかけを挟まずに、登録型派遣と常用型派遣のちがいをまとめてもよさそうですよね。
では、同じ内容を問いかけ・回答を使わずに書いてみます。
「非正規雇用の働き方の1つに派遣社員があります。
派遣社員には登録型派遣と常用型派遣の2種類があります。
登録型派遣とは・・・・・・」
言っていること自体は同じなのですが、読み手としては「ご存知でしょうか」と問いかけられることによって、考えるための「間」が生まれます。
「たしかに登録型派遣という言葉は聞いたことがあるな。でも常用型派遣とはどんな仕組みだった?」といったように、読み手は一瞬のうちに頭の中で自問自答してくれるのです。
一方、問いかけなしで説明が続いていくと、一方的で単調な印象を受けるのではないでしょうか。
このように、いちど問いかけてから回答を示すことで、読み手の関心を引きつけ、文章の要点に集中させやすくなる効果があります。
こうした効果が生まれる理由はとてもシンプルで、書き手と読み手の仮想的な「対話」になっているからなのです。
実際に書き手と読み手が会って対話をするわけではありませんが、まるで書き手から「知っていますか?」と聞かれて、「そうですね、少しなら知っています」と答えるように、仮想的なコミュニケーションが生まれているのです。
人は一方的に情報を提供され続けると、疲れてしまったり飽きてしまったりしやすくなります。
文章中に問いかけと回答のセットを用意しておくことで、読み手との間にちょっとした対話のイメージが生まれ、読み手に考えてもらう場面を作ることができます。
とくに文章の冒頭で問いかけと回答を設けておくと、読み手の関心を引きやすいでしょう。
問いかけと回答。
文章を書く上で、非常によく使われる王道のノウハウです。
次に文章を書くときに、ぜひ使ってみてください。