文章を書くのは苦手でも、会話で人に伝えるのはそう難しいとは感じない人はわりとたくさんいます。
同じように言葉を使っているのに、話すのは簡単でも書くのは難しく感じるのは、何だか不思議だと思いませんか?
なぜこのようなことが起きるのでしょうか。
私たちは口に出して話すとき、基本的には頭に浮かんだ順に声に出していきます。
言い方や表現に気を配ることはあっても、文章のように全体の構成や順序を考えてから話すことはめったにありません。
スピーチやプレゼンの場合、どちらかと言うと文章を書くときの思考に近くなります。
原稿を用意するのであればなおさら、話す順序や全体の構成に気を配るでしょう。
そのため、スピーチやプレゼンにも文章と同様に苦手意識を持つ人が少なくないのでは?と思うのです。
文章を書くとき、全体の構成や伝える順序は非常に重要な要素となります。
まず何を書き、次に何を伝え、最終的にどのような結論を導きたいのか。
全体像を明らかにしておかないと、書いているうちに空中分解してしまうからです。
その点、話し言葉の場合は話し手の思考を順に伝えることがある程度許容されています。
ただ、皆さんも経験があると思いますが、話が分かりやすい人と分かりづらい人はいますよね。
順を追って話すことができれば、聞き手にとって理解しやすく負担感も少なくなります。
話し手が頭に浮かんだことをつらつらと話していると、聞き手は情報を整理しながら聞く必要がありますので、それだけ負担感としては増してしまうのです。
つまり、話すことと書くことは本質的に同じなのです。
話せるけれども書けない、と感じる人は、話しているときも聞き手の負担感を十分考慮できていない可能性があります。
別の言い方をすると、書くときの構成や順序を短時間でまとめられるようになると、話す技術も向上させることができます。
文章を書くことは「書く」という行為に限定される技能のように思われがちですが、実は話すための技能にも通じているわけです。
最近はYouTuberの方々も増えていますが、チャンネル登録数の多いYouTuberのほとんどがあらかじめ原稿やシナリオを用意しています。
編集なしの1本撮りの方もいますが、よほど話術に長けていない限り、思いついたまま話しても聞きやすいというのはまれなケースだと思います。
これは、話すことと書くことが実は同じスキルであることの1つの好例と言えるでしょう。
文章を書く技能を向上させることで、話し方も上手になるなら一石二鳥ですね。