【翻訳】金融所得の課税選択 | 早起き税理士・会計士の「本業ブログ」 by 船戸明会計事務所

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皆さま、こんにちは。
税理士・公認会計士(船戸明)の「本業ブログ」にようこそ。

 世間ではNISA(少額投資非課税制度)が話題です。本は山積みにされ、新聞でも頻繁に登場し、証券会社のPRもやかましいほど。

 先日など、タンス預金と運用の違いとして、500万円をタンス預金にした10年後は500万円のままだが、5%で運用できれば○○万円になる、といった記事(宣伝だったかも)も目にしました。おいおい、どれだけ単純な比較なんだ。運用で損失を被る可能性をどう評価するのかと。

 株式で運用した場合に生じる所得は、配当や譲渡益でしょう。これらについては、証券会社などの特定口座で取引を行ない、「源泉徴収あり」を選択していれば、確定申告するかどうかは納税者の任意選択です。複数の口座があり、A証券の利益とB証券の損失を相殺したい。過去から繰り越してきた損失を今年の利益と相殺したい。今年生じた損失を来年に繰り越したい。そういった場合は、確定申告を行なうことになります。

 先の源泉徴収あり口座を選択しているとすると、たとえば配当の場合、1)総合課税、2)分離課税、3)申告不要、の3つの選択肢あり。譲渡損益の場合、1)分離課税、2)申告不要、です。

 さらに、令和4年分の所得まで、国税である所得税と、地方税である住民税で、異なる課税方式を採用することが可能でした。たとえば配当について、所得税では総合課税としたうえで、住民税では申告不要にする、など。どういう組み合わせがもっとも税負担が軽くなるか、様々なシミュレーションをしたものです。

 R5年分の所得から、所得税と住民税の課税方式は一本になりました。所得税で総合課税なら、住民税も総合課税、といった具合に。課税方式の選択肢は残っていますので、単純になったもののシミュレーションは必要です。

 さらに話をややこしくするのが介護保険料や後期高齢者保険料といった保険料に与える影響でしょう。金融所得を申告すれば保険料算定にも加味されて保険料の金額が上がります。そこまで加味して負担額を計算しなければなりません。ただ、そういった状況の是非は、今問題視されているようです。

「政府・与党はマイナンバーで株式の配当といった金融所得を把握しようとする動きを強めている。例えば自民党は医療・介護保険の保険料の算定・徴収で株式の配当や売却益、公社債の利子といった金融所得を加えることの検討を開始。……(金融所得を)あえて確定申告しない人も少なくないが、申告の有無で保険料負担に不公平が生じるとの指摘が根強い」(22日、日経)。

 金融所得をマイナンバーを軸として把握することは技術的に可能な状態なのだとか。であれば、申告の有無にかかわらず保険料算定に含めることは可能なのでしょう。問題は、現役世代で会社を通して社会保険に加入している世代ではなく、引退して国民健康保険料や後期高齢者医療保険料を支払っている人たち。高齢者の負担が増すことになる政策ですので、そう簡単に実現するのかどうか。税理士のシミュレーションは、まだまだ続きそうです。




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